第45話

ク「(兄貴が惚れるのもわかるな…)この前、やっと悪魔の身食えたんだがビスビスの実っていって、ビスケットを作り出せるようなんだがよ、どうも使い方がわからねぇ。ビスケットって何が役に立つんだ?
カタクリ兄貴みたいな特殊な超人系だったらよかったぜ」

『ビスビスの実ですか…』



ユキノは顎に手を当て考えた。



『今作り出してもらえますか?』

ク「あぁ」



クラッカーが手を叩くと、ビスケットが空中に現れた。
ユキノはビスケットを手に取り、じっくりと眺め始める。



『硬さは調節できるんですよね?』

ク「あぁ」

『痛いのが嫌いなんでしたらビスケットの鎧を作ってはどうですか?』

ク「鎧?」

『武装色を使えばさらに硬くなりますし、例えば人型を作ってその中に入れば怪我のリスクも減るんじゃないですかね?』

ク「人型の鎧か…考えてみる、ありがとな」



クラッカーは目を細め、子供のような笑顔を見せた。
そしてユキノの頭をポンポンと優しく叩くと去っていった。
ユキノは恥ずかしそうに笑いながら、叩かれた頭に触れる。



『あっ!道を聞けばよかった…』









数か月後―――



今日は1年に1回行われる予防接種の日。
予防接種が行われている医務室では大騒ぎだった。



医「クラッカー様、お願いですから鎧から出てきてください!!」

ク「嫌だ!このままでもいいだろ!!」

医「それでは意味が成しません!!」



ユキノのアドバイス通り、大きな体格をしたビスケットの人型の鎧を完成させたクラッカー。
以前にあった戦闘中の怪我への恐怖心はなくなり、任務の成功率が上がったことにビッグ・マムは大喜びしていた。

しかし一つ問題が…
注射が大嫌いなクラッカーは予防接種を受けたくないため、鎧から出てこず医者たちは困っていた。
その様子をユキノは離れたところから心配そうに見ていた。



『余計なことを言いましたかね』



結局この後、クラッカーの次に受けるカタクリが痺れを切らし、鎧をいとも簡単に破壊した。
そしてモチモチの実を使ってクラッカーを捕らえ、クラッカーは大声で悲鳴を上げながら予防接種を受けたのである。





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