第46話
〜♪
ユキノは船の上でご機嫌よく鼻歌を歌いながら甲板の縁に座り、足を海の上へと投げ出していた。
今日はカタクリが長期休暇が取れたということで、遠出をしないかと誘われたのだ。
今は新世界を逆走し、前半の海のとある島へと向かっている。
カ「機嫌がいいな」
カタクリがユキノの隣に現れた。
『久しぶりですもの、あなたとのお出かけは。それにこんなに遠出するのは何年ぶりでしょう』
カ「長い休みが取れたからな。もうすぐ着く。上陸する準備はしてあるのか?」
『あ、まだでしたっ、ちょっと待ってください!』
カ「まだ着かねぇから落ち着け」
慌てて立ち上がり、自室へと急いで戻ろうとするユキノ。
それを見たカタクリがそういうが、ユキノが数m先でこけるのを見て、カタクリは溜息をつきながらもその目は優しかった。
上陸した島は春島で、気候も温かく、平和な島だった。
しかし事件発生。
『…はぐれました』
この島は商いも盛んといこともあり、露店ではいろんな島の珍しい特産品なども置いてあり、ユキノは夢中で商品を見て回っていた。
気が付いた時には、隣にいたはずのカタクリの姿が見当たらない。
『またやってしまいましたね』
ユキノは肩を落とす。
自分の方向音痴と迷い癖は自覚はあるにもかかわらず、どうしても治らないのが悩みである。
『どうしましょう…』
困ってしまったユキノは顎に手を置き、辺りを見渡す。
?「おい」
後ろから声を掛けられ、ユキノは振り向く。
すると後ろにいたのは、目の下に隈を作りお世辞にも人相がいいとは言えない男がいた。
男は白い帽子に肩には長刀をかけている。
『あの…どなたでしょう?』
?「おいおい、人に名前を聞く前に自分から名乗るのが筋ってもんじゃねぇのか」
『でも話しかけられたのはそちらですよね?』
?「それもそうか。トラファルガー・ローだ。そこで何をキョロキョロしている」
『実は…』
ユキノは事の経緯を話す。
ロ「ガキか」
『うっ…あと少しで三十路なのに、これだけは治らないんです』
するとローは目を見開いた。
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