第5話

鎖がなくなったことでユキノは身動きが取れるようになり、水槽の上から顔を出す。
水槽から体を出そうとするが、そこで思いとどめた。



『(もしここで人間の足になったら捕まった海賊達と同じことになってしまう。でもここからでなければ海に帰れないし…)』

?「!お前どういう事だ、人間にもなれるのか?」

『!』



思考を巡らせていたユキノは驚いた顔で男を見た。



『な、何でその事を』

?「俺は少し先の未来を視ることができる」

『(未来を)………』



もうバレてしまっては仕方がないと思い、水槽から出た。
しかし思いのほか水槽には高さがあり、思わず男がユキノを横抱きでキャッチする。

するとユキノの魚の足は徐々に二つに分かれていき、人間の足になった。
その様子を男はじっと見ていた。



『ありがとうございました、降ろしてください』



男は静かにユキノを床におろした。



『私は父が人間で母が人魚の半人魚なんです。しかも見ての通り陸上と水中では足が変わる特異体質を持っています』



助けてくれた男だからだろうか、ユキノは何故か自分の事を話していた。
これから○されるかもしれないのに。



?「この事はママに話す。いいな」

『…はい』

?「行くぞ」



男はスタスタと部屋の出口に向かって歩いていく。
しかしユキノは足が縺れてしまい転んでしまった。



『あ』



これから何が起こるか分からない恐怖だからだろうか、足がうまく動かない。
すると男がユキノに近づき、再び横抱きにして抱き上げた。



『///』



水槽から出たときには意識していなかったが、男の整った顔が近くにありユキノは顔を赤らめる。



『…あの、貴方の名前は?』

?「…カタクリ。シャーロット・カタクリだ」





この後、甲板にいたママに気に入ってもらって、私たちは結婚することになったんです。





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