第50話

『いたっ…痛いです、カタクリさん!』



ユキノは無事カタクリと合流したはいいが、再会して早々すごい力で腕をつかまれ、カタクリに引っ張られるがまま帰船した。
抵抗や訴えもカタクリの耳には入らないようだった。
兄妹達から安堵の声が聞こえてくるが、兄妹達もカタクリの不機嫌が伝わっているのか、駆け寄ってはこない。

自室に入るなり、壁に押し付けられ顔の両脇にはカタクリの手があり、逃げ場を失う。



『カ、カタクリさん?んっ!!』



カタクリは自分の口元を覆っている襟巻を乱暴に引きはがすと、そのままユキノにキスをした。
最初は軽いキスだったが、ユキノの唇にカタクリの舌先が当たる。
ユキノは反射的に口を開くと、カタクリの熱い舌が入り込んできた。



『んっ…ふっ』

カ「…っ」



舌を絡められたり、舌を吸われたりととてつもない快感がユキノを襲った。
ユキノの口から飲み込み切れなかった唾液が伝う。

だんだんと二人の息が上がっていき、ユキノは苦しさからカタクリの厚い胸板を叩くが、カタクリは止めない。
それどころか激しさを増していく。



『もう…ダメ…』



とうとう酸欠になり、ユキノは膝から崩れ落ち、そのまま気を失ってしまった。









ユキノが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。



『///』

カ「目が覚めたか」



気を失う前の激しいキスを思い出し、ユキノは顔を赤くする。
するとコップを持ったカタクリが部屋の中へ入ってきた。



カ「水を飲め」



ユキノはベッドから体を起こし、カタクリからコップを受け取ると、中にある水を一気飲みする。



カ「悪かった」

『その…キスのことですか?』

カ「腕のこともだ。お前男と一緒にいただろ?」

『ローのことですか?』



ローを呼び捨てで呼んでいることに、カタクリは眉を顰めるがすぐに元に戻す。



カ「奴にキスをされてただろ」

『み、見てたんですか!?頬ですよ…』

カ「頬でもだ。それを見たとき、胸がムカムカしてどす黒いもので支配されているようだった」

『フフッ、嫉妬してくれたんですね』

カ「…笑うな」



カタクリは顔をそらした。
ユキノはもう一度笑うとベッドから身を乗り出し、カタクリの頬にキスをする。





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