第54話
主人公side―――
侍女「ユキノ様、こちらのドレスはどうでしょうか?」
侍女「こちらのネックレスなどいかがですか?」
『あの〜主役ではないのですから、着飾る必要はないのでは…』
侍女「いいえ、ママから仰せつかっていますから」
『ママからですか』
ママから言われているのなら仕方がないですが。
今日はお茶会。つまり結婚式の日。
新婦はシャーロット家三十二女、シャーロット・マロン。
新郎は鬼蜘蛛海賊団の船長、スパイダー。
お茶会に出席するのはいいが、私は侍女たちによってめかしこまれていた。
薄紫のマーメードドレスに長い髪は纏められ、カタクリさんから頂いたカタクリの花をモチーフにした髪飾りを差し、滅多にしない化粧を施されていた。
侍女「お綺麗ですわ、ユキノ様」
侍女「きっとカタクリ様もお喜びになられますよ」
『そうですかね//』
侍女「ユキノ様、そろそろお茶会が始まります」
『今行きます』
そして私はお茶会の会場に向かった。
喋る可愛らしい扉を抜け、お茶会の会場に着くとそこにはすでに大勢の人がいた。
シャーロット家の家族はもちろん、鬼蜘蛛海賊団の船員達やいろいろな招待客がスムージーのウェルカムドリンクを飲んだり、会場にある果物を食べたりしている。
入口ではスムージーさんが椅子に座っていて、ウェルカムドリンクを振舞っているようだった。
ス「綺麗だなユキノ。ウェルカムドリンクはどうする?」
『ありがとうございます、大丈夫です。あの、カタクリさんは…?』
ス「兄さんなら…」
スムージーさんはある方向を見た瞬間、顔を苦虫を潰したような表情になった。
不思議に思い、私もそちらを見ると体が動かなくなった。
視線の先にいたのはカタクリさんがいる。
会場の隅に長い足を組み、座っていた。
そこまではいつも通りだったが、カタクリさんの周りにはきれいな女性が囲んでいた。
主人公side 終了―――
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