第56話
『いやだ、私ったら…恥ずかしいです』
カ「恥ずかしがることはないだろう」
カタクリはその隙に、ユキノに近づき、ユキノの垂れている後れ毛の一房を手に取る。
カ「俺はうれしいぞ。いつも俺ばかり嫉妬していたからな」
『そうなんですか?』
カ「お茶会の時にいた女たちは大事な招待客だったんだ。一応次男として応対しなきゃならねぇ。面倒だがな。安心しろ、お前以外の女に俺は興味はねぇよ。愛しているのはお前だけだ」
カタクリはそういうと、ユキノの髪の毛にキスをした。
ユキノはさらに顔を赤くする。
『嬉しいです//』
カ「それともここでもっと分からせてやろうか?」
カタクリの目が情熱的な色に変わる。
カタクリの瞳にユキノはドキリと心臓が跳ね上がったのを感じた。
『カ、カタクリさん//』
フッとカタクリは目元を緩ませる。
『(この表情を見られるのは私だけって、思ってもいいんですよね?)』
カ「当たり前だろ」
『!心を読まないでください…』
カ「その髪飾り」
カタクリはユキノの髪飾りに触れる。
カ「ドレスもよく似合っている。とても綺麗だ」
『ありがとうございます』
カ「俺たちの結婚式の時は言えなかったがな」
『あの時はギクシャクしていましたからね』
ユキノは苦笑いを浮かべた。
カ「今更だが、お前のウェディングドレス姿綺麗だった」
『貴方のタキシードも素敵でした』
カ「…もう一度、結婚式を挙げるか?」
『フフッ、いいですね』
二人は寄り添って窓の外から見える月を見ていた。
*