第64話
―――8年前
ス「ユキノ、カタクリ兄さんとは少し見ない間にだいぶ夫婦らしくなったじゃないか?」
『へ?』
今日はスムージーと一緒に3時のおやつを楽しんでいた。
ス「その指輪、兄さんからもらったんだろう?」
『は、はい。先日出かけた際にいただきました。このネックレスとともに』
ス「きれいじゃないか」
『はい、とても嬉しいです』
スムージーは目の前で頬を染めている(名前)を見て微笑んでいた。
しかし、今度は一変して暗い表情になる。
『でも…』
ス「でも?どうしたんだ?」
『…まだ一線ひかれているようでならないのです』
ス「もしや、兄さんの口元まだ見てないのか?」
『はい…』
ス「そうか、結婚式の時も誓いのキスも兄さんの事情で免除されたんだったな。まぁ、この件に関しては私がどうこういう問題ではないんだ」
『スムージーさんはカタクリさんの素顔はご存知で?』
ス「あぁ、昔な(おそらく兄さんのことだから、あの口を見たらユキノに嫌われると思っているのだろう。そんなこともないのにな)」
あの気高く誰よりも強い兄さんが、愛する妻に嫌われることに臆しているとは…とスムージーは苦笑を浮かべる。
するとスムージーはなにかを思いつく。
ス「じゃあいいか?ユキノ」
『?』
スムージーは手招きをし、耳を課すようユキノにいう。
ユキノは不思議に思いつつも、耳を傾けスムージーの小さな声を聞き取る。
最初はふむふむと頷き、聞いていたユキノだったが、次第に顔を赤くしていった。
『なっ、そんなことをするんですか!?』
ス「あぁ、これで解決するだろう?」
『それはそうかもしれませんが…わかりました!やってみます!!』
ス「その意気だぞ、ユキノ」
スムージーはニヤニヤと笑っていた。
さてスムージーはユキノになにを吹き込んだのやら…
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