第65話

カッカッと静かな廊下に、一定のリズムで靴音が鳴り響く。

もう夜も更け、城のみんなが寝静まった頃、カタクリは任務から帰ってきた。



カ「(ユキノはもう寝ただろうか)」



カタクリはユキノがいつも通り眠りについていると思い、自室の扉を静かに開ける。
案の定、部屋の明かりは点いていない。



『お、おかえりなさい』

カ「!起きていたのか」



ベッドサイドにあるランプの明かりを点けようと、突然ユキノの声が聞こえてきて、カタクリの双眸が見開かれる。



『すみません、お話がありまして…』

カ「話とは…!」



部屋は未だに暗闇に包まれているが、カタクリの目は暗闇に慣れてきた。
するとユキノの姿に双眸を再び見開かせた。
ユキノの格好はいつも眠りにつくときの格好とは違い、スケスケのベビードールを着ていた。



カ「なんだその恰好は」

『あ、あの…』



暗闇で実際にはわからないが、ユキノは顔を伏せ気味にしていることから恐らく顔をトマトのように真っ赤にさせているのはカタクリは分かる。
ユキノはカタクリの視線に耐え切れず、ベッドのシーツを胸元まで引き上げた。



カ「はぁ…大方スムージーかガレットあたりだろう」

『(バレています、スムージーさん…)』

カ「で、話とその恰好は関係あるのか?」



カタクリはベッドの近くにあるデスクの椅子に腰を落ち着かせる。
ユキノは口をごもつかせていたが、ようやく意を決したように話し始めた。



『先日、あなたから思いを伝えられて、とてもうれしく感じました。そして私も同じ気持ちであると気づき始めたんです…でも……いまだに…その…キスとか…していただけないですし…』

カ「………」



カタクリは目を少し見開き、体を固まらせた。



カ「ちょっと待て…それ本当なのか?」

『え?』

カ「お前が俺と同じ気持ちだと?」

『はい//あなたのことを愛しています』



カタクリはユキノの言葉を聞き終わる前に自分の腕にユキノを閉じ込めた。



カ「はぁー…」

『あの…もしかして私の気持ち、気づいていませんでした?』

カ「……言っただろう、こんな気持ちになったのはお前が初めてだと…」



ユキノはちゃんと自分の気持ちをしっかり告げていないことに、申し訳なく感じカタクリの背中に腕をまわし、さらに体を密着させる。





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