第7話
プ「あの時、義姉さんに言ってもらった言葉は本当に嬉しかった。初めて言われた言葉だったもの」
『私も小さいころ、この特異体質のせいで虐められていましたから、プリンの気持ちはよく分かるんです』
プ「そうなんだ」
『だからきっとプリンにもとても素敵な方と出会えますよ』
プ「なんだか義姉さんに言われると、実現しそうになってきた」
二人は顔を見合わせて笑いあった。
その時、ドアが開きカタクリが部屋に入ってきた。
カ「なんだ、プリンもいたのか」
『おかえりなさい』
プ「ちょっとカタクリ兄さん。ノックぐらいしてよね」
カ「自分の部屋なのに何故ノックしなきゃいけねぇんだ」
二人がお茶をしていたのはユキノ達夫婦の部屋だった。
カ「プリン、ママがお前を探してたぞ」
プ「ママが?もう少し義姉さんとお話ししてたかったのに」
『また今度いっぱいお話ししましょう。チョコレート美味しかったです、また作ってくださいね』
プ「もちろん、今度は一緒に作ろうね!また二人の話も聞かせてね」
プリンは部屋を出ていった。
プリンの最後の言葉にカタクリは不思議そうな顔をする。
カ「二人の話?」
『あなたと初めて会った時のことを話したんです』
カ「あぁ、俺たちが沈めた海賊船にお前が捕まってたことか。もう十年になるのか」
カタクリは懐かしむように遠くを見つめた。
『そういえばずっとお聞きしたかったんですけど』
カ「なぜお前と俺が結婚できたのかって聞きたいんだろ」
『未来を読んだんですね』
カタクリは何かを言おうとしたが思いとどめ、考えるそぶりを見せた。
『いくら私が半人魚で珍しいからと言って、次男の貴方と結婚できたのか不思議なんです。私は何の地位も持たないですし、ママにとっては何の利益にもならないと思いますが』
カ「…知らん。ママが決定したことだからな」
『そうですか』
ユキノは下を向く。
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