第8話

するとカタクリの手が伸びてきて、ユキノの顎をつかみ上を向かせる。



カ「なんだ、俺と結婚したことを後悔しているのか」

『ち、違います!』

カ「まぁもし後悔しているとしても俺はお前を手放す気なんてねぇからな」



カタクリの鋭く光る赤い瞳にユキノは頬を赤らめさせた。
ユキノは思いっきり背伸びをしてカタクリの胸に抱き着いた。
二人は身長差があるため、普通に抱き着くとカタクリの鳩尾辺りにユキノの頭が来る。



『後悔しているわけないじゃないですか。私は幸せ者です。こんなにも愛している人と結婚できたんですから』

カ「…俺もだ」




ユキノが抱き着いたまま上を見上げると、カタクリは手で顔を覆い顔をそらしていた。
顔は見えないがほんの少しカタクリの耳が赤くなっていることに気づく。
それにユキノは満面の笑みになり、もう一度カタクリの胸に顔をうずめた。









カタクリside―――



十年前、俺とユキノは出会った。

あの日俺たちビッグマム海賊団は、ママと俺を含める数人の兄弟たちでナワバリの島を見回りに出かけていた。

その途中、まあまあ名前を聞いたことがある程度の海賊団と出会い、戦闘になる。

だが、四皇でもあるママや億越えの賞金首の俺たちに勝てるはずもなく、30分程で敵の海賊たちを殲滅し終えた。



ペロスペロー「ペロリン、この船にはもう敵は乗っていないみたいだね」

マ「いや、どっからか気配を感じるな。探せ!」

カ「……(あの部屋か)」



どうやら一人生き残りがいるみたいだが、うまく気配を消しているのか捜索が始まった。

俺は見聞色に優れているからすぐに敵の位置が把握でき、とある部屋の入口に立った。

部屋の入口は鉄でできており、頑丈そうだがそんなものは俺には関係ない。

足に武装色を纏い扉を蹴破る。

鉄の扉は折れ曲がり部屋の奥に転がっていった。

気配がする方には薄く明かりが見え、薄くではあるが人影が見える。





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