I scream
どうして忘れられると思ったんだろう。
どうして簡単に諦められるって思ったんだろう。
こんなに好きなのに。こんなに愛してるのに。
「……てづかぁ……」
布団の端をぎゅっと握りしめると、自然に声が出ていた。
すっとひと筋、涙の線が頬に走る。
「アイスが食べたい……」
「……泣くほど?」
ぴとっと手塚の手のひらが、あたしの額に張り付く。
冷たくて気持ちいい。しばらくこうしてて欲しい。
涙の零れた瞼を閉じる。
「まだ解熱剤が効いてないのかな。」
「アイスかぁ、プリンかぁ、ゼリーが食べたい……」
「世田谷の好きなものばかりだな。」
こんな寝込むほど熱、出たの、いつぶりだろう。
子供の頃以来じゃないかなあ。
しばらくぼーっと手塚の顔を見つめていると、流石の彼も不安になったのか改めてあたしを覗き込んだ。
「……ごめんねぇ」
「謝ることなんてない。アイス、なにがいいんだ?買いに行ってくる。」
「なんでも……なんでも好き……」
「一人でも大丈夫か。」
「寝てるだけだから……あ、でも」
「でも?」
ぱっと額から手が離れた。
それが嫌で。
「……手塚アイスみたい……」
「?……手か?」
「つめたい……きもちいぃ……」
どうして大丈夫って思ったんだろう。
どうして行かないでって言えなかったんだろう。
こんなに好きなのに。
「……ずっとここにいて……」
こんなに愛してるのに。
「……。」
ひやっとした感触が、頬をかすめた。
涙の跡をなぞるように。
「アイスは?欲しいんだろう?」
「……いいや」
「食べたいんじゃないのか?」
「だいじょぶ……手塚の手ぇきもちいい……」
「アイスより?」
「好きなもんだもん……」
「……そうか。」
「好きなもんだもん、そのまんま……」
目が覚めたらきっと治ってるよ。
薬も飲んだしちゃんとあったかくしてる。なんだかんだいっぱい寝てるし。
なにより君がいる。
とろけそうな熱のほっぺたの上に、君の冷たいてのひらがある。
「アイスはまた奢って……」
「……結局食べるのか。」
「おごってー」
「熱が引いたらな。」
あの時いなかった君が、今はいる。
寂しくない分、きっと早く元気になれる。
I scream
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
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