おにぎり


がんばれー

がんばれー

ぎゅーっ




「……負ける気がしない。」





ちょっとやそっとじゃ崩れない

半端な気持ちじゃ歯が立たない





「試合ができますように!!」





ぱんぱんっと柏手を打つ。

神様仏様、テニスの神様。





「今日も手塚がいい試合できますように!!」





汗を流した後は殊更おいしく。

負けて悔し涙が滲む時も、しょっぱくなく。

コンビニの方がそりゃあ便利かもしんないけど。





「いつもありがとう、世田谷。」

「言われるほどのもんじゃないけどね」

「みんな羨ましそうに見てくるぞ。」

「恥ずかしいからやめて……!」

「世田谷の矢鱈でかいおにぎり。」





がんばれー

がんばれー、手塚。

なかなか見に行けなくても、一緒にいるからね。

鞄の中のお弁当箱の片隅で、君のこと応援してるからね。





「つい気持ちこめてぎゅーって握っちゃうんだよね」





程よくしなしなになった海苔の頑丈さと。

気持ちこめすぎて握った米粒の隙の無さ。

手塚のテニスみたい、って言ったらどんな顔されるだろうか……?





「……俺もこのくらい世田谷をぎゅっとしたい訳だが。」

「はっ!?なっ、えっ何それどういうこと?」

「まぁそれは、帰ってからゆっくり。行ってきます。」

「いってらっしゃい……」





とにかくっ。

頑張った君にささやかなご褒美を。

お弁当箱の中身を空にして帰って来てくれるだけで、あたしは結構嬉しい。





「……ぎゅってしたいだって、……ははっ、ふふふっ」





……いやぎゅーってしてくれるって言うんならもっと嬉しい!!嬉しいに決まってる!!!




おにぎり
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
161030


- 77 -

*前次#


ページ:



ALICE+