君フェチ。
何か違う。
でも何が違うんだ?
うーん……
「あの……手塚サン?」
「……どうした?世田谷。」
「どうしたはこっちの台詞なんですけど……」
衣替えはしたばかりだ。
髪は多分切っていない。
中学生だから化粧はしないし、服装違反するような奴じゃない。
「さっきから何!?人の事ジロジロ見て!!」
「えっ?あっ、」
「なんか変なとこあるならさっさと言ってよ直すからーーー!!!」
本人に指摘されて初めて気が付いた。
でも先週の金曜日と今日で絶対に世田谷の何かが違っているのだ。
違う、というか、変わった、というか。
その謎を解き明かしたくて無意識のうちにじっと見てしまっていたらしい。
朝からずっと。
「別になんも変わってないよ……手塚の気のせいじゃない?」
「そうか?……。」
「おいサイズ感を測るな!!眼鏡カチ割んぞ!!!」
「なんだろうな……なにかな……?」
そもそもどうして変わったと思ったのか。
自分でも不思議でならない。
どちらかというと他人の事には全く興味がない人間だったのに。
興味がなさ過ぎて乾に叱られる程だったのに。
「そんなんじゃ女子に愛想尽かされるぞ、と……。」
「中学生男子め……モテたいお年頃かっ」
「まぁ別にその時は何とも思わなかったんだが……。」
伏せ気味の目元と半開きの唇。
あーうん、それはいいんだ。それは前から可愛いから。
手の甲の白さとか、手首の細さとか。
そういうのではなくて……。
「まだ悩むんだったらその間に日誌提出してくるっ」
「うん、……。」
世田谷が目の前で席を立った。
その瞬間。
「―――あ……!」
わかった。
そうだ、今朝階段で逢った時に思ったんだ。
世田谷の違和感。
「……、」
「わかったの?」
「……。」
「なんで黙ってんの?気になるじゃん」
「いや、あの、」
「言いなさいよ」
「……ちょっと流石になんというか、」
「言いなさいよちゃんと。人の事さんざ見といて」
……思った以上に逆鱗に触れていたらしい。
こんなに詰め寄られたの初めてだ。世田谷だけにじゃないぞ。人に。
にじり寄る、その合間にも、気付いてしまった俺は実感している。
「におい、が、」
「におい!?」
「……髪の匂い、変えた?世田谷……。」
触れた指先の間をするりと滑り落ちていく。
一秒にも満たない一瞬のできごと。
思わず口を噤んでしまったのは、少しだけ変態臭いと思ってしまったから―――。
「……シャンプー、新しいのにした……」
「それだ。あースッキリした。」
「……」
「……そんな顔をされると思ったから言いたくなかったのに。」
「あんだけ気にされたら答えが何かこっちも気になるじゃない」
「―――」
「言ってる傍から深呼吸しないでって……!!」
たぶん体温が上がって。
なんだかもっと香ってくるような気がした。
咄嗟に世田谷は俯いたけど。
本当にいい匂い。
いつまでも、傍で愛でたくなるような。
少しだけ大人びたような、新しい君の匂い。
「……いいにおいだ。」
「……っ」
……ヤバいな。 自分は純粋に楽しんでいるだけなのだが、文章にするとガチで変態臭いのでとても困っている。
おまけに顔真っ赤にさせて追い詰めているのでコレはマジで通報されても仕方ないかもしれない。
「ヘンタイ……!!エロ塚……!!」
「せめて世田谷フェチとでも呼んでくれ。」
まぁ、止める気もさらっさらないのだけれど。
君フェチ。
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
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