年下の男の子
真っ赤な林檎を頬張る
ネイビーブルーのTシャツ
あいつは
あいつは
カワイイ
「世田谷センパイちーっす」
「ちーっす越前」
「オレクリスマスが誕生日なんすよー」
「うんそれ昨日も聞いた」
「なんかくださいよー」
「……牛乳?いりこ?セノビック?」
「……オレ今センパイが女じゃなかったらブッとばしてると思います」
年下の男の子。
寂しがり屋で、生意気で。
「いーじゃんアンタモテモテじゃん?1年にファンクラブあるじゃん?プレゼントなんか貰い放題でしょ?」
「いや大体この時期誕生日の奴は誕プレとクリスマスとお年玉一緒にされるんすよ?かわいそうって思いません?」
「くれる人がいるだけいいじゃん」
「……欲しい人から貰いたいから言ってるのに」
「ん?」
「いや、なにも。とにかくなんかくださいセンパイ」
憎らしいけど、まあ。
まーまーまー。
カワイイ年下の男の子。
「手塚部長には何あげるんすか?センパイ」
「……ナイショ」
「決まってないな……?」
「内緒つってんでしょ!!つか、モテモテの越前さんにはカンケーないし!!」
「えープレゼント交換で被ったら嫌だしー」
「……ああ部活の?……大丈夫よ多分」
「被らない?」
「うん」
「ホントに……?」
「むしろ被ったら、キモい」
デートの時間に遅れ……たことはない。
いつでも喧嘩を仕掛け……てるのはあたしだ。
ポケットをはじめ、全てのボタンというボタンはちゃんと付いてるし、汚れたハンカチを丸めたまんま突っ込んでるなんて見たことない。そもそも想像もできないそんなダラけた手塚を。
大事そうに使いこまれている手袋と、左右ともにきちんと結ばれた靴紐。
「……世田谷のクリスマスプレゼントって何?」
「……はっ!?さっきの聞いてた……!?」
「あんな大声で内緒だとか言われると逆に気になる……。」
寂しがり屋かどうかなんて知らない。
生意気な時期なんて果たしてあったのか?
そういうとこ本当憎らしいけど、憎らしい時も多々あるけど。
ぜーんぶひっくるめて、手塚のこと好きなの。
「というか越前にも何かやるつもりなのか?」
「……あげても牛乳かいりこかセノビックの予定ですが……?」
「そんなん乾の作った汁でもやっとけ。」
「流石にそれはクリスマスがトラウマになっちゃうからやめたげて……!!」
「……俺は。」
「なに?」
「……世田谷のプレゼント、結構期待してる。」
あたしのこと、好きかしら?
はっきり聞かせて?
照れて言い逃げた、背中に向かってこっそり投げキッス
手塚はあたしのこと、好きかしら?
はっきり聞かせて欲しいけど、それはそれで今でも少し怖い―――
「……まさかそれだけじゃないだろうな?」
「えっ」
「それだけで満足するほど子供じゃないぞ、俺だって。」
「やばっ、見えてた……?」
「……それだけで納得出来る程大人でもないぞ、俺は。」
寂しがり屋で、生意気で。
憎らしいけど、好きなの。
もしかしたらあたしが君の周りの女の子に感じているような不安を。
君は君で越前や周ちゃんや他の男子に抱いているのかもしれないね。
あたしと同じように。
「……じゃあ、セノビック」
「……俺も?これ以上?」
「を、あたしが飲んで、もうちょっと手塚とチューしやすいようになる……」
「……何年がかりのプレゼントだ。それ……。」
「さぁそれも本当に伸びるかどうか。でも頑張るよ?」
「いーよ今のままで。……いいよ世田谷はそのまんまで!!でも投げキッスだけだったら許さん!」
「許さんて」
「許さん!ちゃんとしないと俺は許さんからな!!!」
「ハイハイ、じゃークリスマスにね!!」
「……。」
「もう一回投げとこっか?」
「じゃあ、……貰う。」
「あたしのこと好き?」
「……好きじゃなければ貰わない。」
放たれた指先からの愛をしっかり受けとって。
コイツもご多聞に漏れず、半年ほど年下のかわいい男の子。
クールなフリしてしっかり妬いてる、可愛い年下の男の子!!
年下の男の子
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
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