My dear girl


もうすぐ雨が降り出しますよ。

……という便利なアプリ





「……。」





世田谷がなんかハシャいでますよ。

……というふうに捉えたら





「……ふっ」

「……何急に!?思い出し笑い?」

「いや、……なんでもない。」





テニスするほど楽しいこと

テニスするほど苦しいこと

上も下もテニス

善も悪もテニス

あきれるくらい、俺の生活はテニス。





「そんなにジロジロ見なくても、もう吹き出したりしないぞ。」

「ホントかなー、手塚意外とツボ浅いもんね」

「……そうか?」

「だってあたしの喋ってることで笑うくらいなんだもん……浅っ」





例えば真っ白な朝もある。

真っ黒に汚れた夜もある。

なにもかもを一色にする気はない。

それでも、人は、自然と。

自分の意思とは裏腹に。

思いもかけずに染められていくものなのだ、と





「うわ、降ってきちゃった。天気予報当たるなー」





好きなものに

好きないろに

好きなように





「お前が降らしたんじゃないのか?世田谷。」

「誰が妖怪アメフラシだ!」

「アメフラシは妖怪ではなく軟体動物では……。」

「誰がタヌキだ!!」

「急にドラえもん……。」

「ぼーくーおーもーえーもーん」

「展開が早いなおい。」





世田谷といるほど楽しいこと

世田谷がいない程寂しいこと

寝ても覚めても

降っても晴れても

今までの俺を突き崩し、これからの俺を揺れ動かす。





「そんなにハシャぐから雨がザーザーなんだ。」

「手塚ツッコミ上手いからつい調子に乗っちゃってー」

「やはりここはふたりでNSCの門でもくぐることを検討した方が或いは……?」

「いや、フツーにテニスで世界王者になってください」

「世界王者。」

「世界王者によーならんのやったら日本へは帰ってこんといてください」

「手厳しい。」

「とか言ってフツーになる気なんでしょ」

「ならないと世田谷に逢えないからな。」

「……」

「あ、雨酷くなった。」

「―――ウソだよっ!いやマジかッ!!大雨ッ!!!」





テニスだけがすべてではない。

世田谷の事だけ好きで居たい。





「まぁ、止むまでゆっくり待っても良い。」

「……止むのかなこれ」

「ふたりで朝まで待ってもいいぞ世田谷。」

「……」

「……ツッコむところだぞ世田谷。」

「……」

「……無視やめてくれ。世田谷。」





もうすぐ雨が上がりますよ。

……というアプリがあったなら。





「……ほら、だいぶ小降りになって来たぞ世田谷。」





君に染め返された俺は満更ではない。




My dear girl
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170305


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