in布団


まだ冷たい布団の中に潜り込んだ。





「な!?―――世田谷!!」

「あったまるまで一緒にいてあげる」





暗闇の中で、驚いた瞳だけ光る。

いいんだよ。

一緒にいたいんだよ。あたしが。





「いやいやいや、駄目だろう?」

「もー、大人しく寝てよ」

「出来るか!というか、お前ラーメン食べたから3時間は横になれないとかなんとか、」

「だって寒いんだもん」





足を摺り寄せるとやっぱり手塚の爪先も冷たかった。

そりゃそうだ、散々飲み屋街歩いたもんね。

おいしそうな匂いに釣られてラーメン食べちゃったけど。

本当は一緒にいたかっただけ。

土曜日の夜を少しでも君と満喫したかった。





「つめた……」

「足が冷えてたら眠れないぞ世田谷。」

「あたしが寝てどうすんの」

「絶対世田谷の方が先に寝る気がする。」

「それは!……うーん」

「だって腹は太ってるし、あったかいし。」





手塚の腕が布団から伸びて、あたしの首もとに巻きついた。

冷えていた肩がじんわり暖かくなる。

どっ、どっ、どっ、どっと聴こえる鼓動はどっちのなのかな?

わかんなくてまぶたを閉じた。





「―――アカーン!」

「なんだ?」

「あたしが寝たら意味ない!手塚が寝て!さっさと寝て!」

「だって寝たら、いなくなるだろう……?」





ぎゅっと抱きすくめられた。

声が、切なくて。

ねぇ君も一緒にいたい?

今夜あたしと一緒にいたい?





「……いるよ、朝までいっしょに……」





耳元でくすくす笑い声が聴こえる。

嬉しくって笑うの?マジで?

そんなんあたしも嬉しいじゃないですか、手塚さん―――。





「……ほら、やっぱり世田谷の方が先に寝た。」





乱れた髪をさっと直すと、手塚は人差し指であたしの睫毛に触れた。

肩の冷たさはすっかりなくなっている。

勿論爪先も。

体中がぽかぽかしている。





「ラーメンの分は明日に持ち越しだなぁ……。」





満足そうにそうつぶやくとやっと彼は瞳を閉じた。

このまま夢でも君に逢える気がする。

そんなことを考えながら、土曜の夜は更けてゆく。

布団の中で。




in布団
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170423


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