もう少し、あと少し


今日は何処に行こう?

君の笑顔の見られる方へ





「まだ明るいね」

「そうだな。」





19時が近いのにまだ空は明るい。

もう少し、もう少しと心の中で思ってしまう。

君の笑顔が見られる内は





「しかし風は冷たくなってきたな。」

「陽が暮れるとまだ涼しいよね」

「大丈夫か、世田谷。」

「大丈夫、一枚羽織ってるし」





昼中の熱を冷ましていくように

焼けた肌を冷ましていくように

夕闇が足音もなくひっそり忍び寄る。

遠くの空に今日の残り火が見える。

歩いているけど行く当てはない。

君の笑顔が見られる間は





「ごはん食べる?手塚」

「……ああ、そうだな。もう7時だもんな。」

「あたしご飯食べるのおっそいんだけどね!」

「そんなことないだろ……、」

「話すのに夢中になって、全っ然進まないんだよね、ごめんね!?」





今日は何処まで行こう?

いつまで一緒にいよう?

君の笑顔が見たくて

見たくて見たくて

どーしよーもなくて。





「……食事くらいゆっくりすればいい。」

「……うん」

「世田谷を置いて帰ったりはしないから。」





笑ってくれればくれる分、もっと、もっとって思ってしまって。

街灯の灯りに君の微笑みが浮かんだ。

陽はすっかり落ちて、ちらちらと星が瞬き始めていた。

もう少しだけ、あと少しだけ。

君と一緒にいさせてほしい。





「では、何を食べますか?」

「じゃあかわむらずしに……」

「却下。」

「冗談ですよ、じょーだん」

「世田谷のそれは全く冗談に聞こえないからな。」




君を笑顔にする力だけは、あたしは絶対持ってるって信じているから。




もう少し、あと少し
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170521


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