Mail
わかってんだよ。
向こうは夜なんだって。
でもやっちゃうんだよ。
『おはよう、手塚』
返事が速返ってこないって知ってても。
『いってきます』
何かに夢中になってる間は、なんとか忘れられる。
でもふと時間が空くと恋しくなってしまう。
送り出す時あんなに覚悟を決めたはずなのにね。
無言の時間が長ければ長いほど、どうしようもない不安が募る。
『ただいま。今帰って来たよ。今日は来週のオリエンテーションの説明会があって遅かった』
本当は会いたい。
五十歩譲って声が聴きたい。
百歩譲って返事が欲しい。
『そろそろ起きる頃かな?あたしは寝るね』
つながっていたい。
時差とか距離とかなにもかも全部飛び越えたい―――。
―――ぴろりん♪
「……!!」
眠れなくてじっと布団の中で眺めていた。
明るすぎる画面。
『おはよう世田谷。今日も一日お疲れ。』
受話器のボタンを押したい気持ちをぐっと堪える。
『高校はどうだ?少しは慣れたか?世田谷の事だからあまり心配はしていないけど。』
わかってんだよ。
本当は会いたいよ。
話がしたいよ。
でもきっとまだまだこの先長いから。
『俺は今日こっちの代表メンバーに会って来た。いるいろ濃そうな面子だった。』
通知音が途絶える。
あとは、静寂。
画面は滲んだけど、流れるままにした。
『また明日、世田谷からのメールを待っている。明日もお互い頑張ろうな。』
毎日会っていた時以上に、手塚の言葉が胸に沁みるんだ。
明日も明後日も、もうしばらく君のいない生活は続く。
指先が涙の雫で濡れた。
「がんばるかんね、手塚」
頑張って、頑張って、頑張るから。
帰って来た時には思いっきり褒めて欲しい。
ドン引きされるほど甘えさせてほしい。
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何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170820
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