アイス食べたい


家に帰ったら、玄関開けて。

靴脱いで。

鞄放り投げて。





「アイスっアイスっ!」





暑い中返ってきたあたしの至福の時間。

今日一日頑張った自分へのささやかなご褒美。

いつものように勢いよく冷凍庫のドアを開く。





「アイスっ!アイ……」





がさっ

がさがさがさっ

がさがさがさがさがさ





「アイスがなーい!!!」

「で?なんで俺を殴るんだ痛いな!!」

「帰ったらアイス食べようと思ってめっちゃ楽しみにしてたのにアイスがないんだよ!?わかる!?」

「わかるけどなんで俺を殴ったんだ。」

「帰ったらテニスしようと思ってめっちゃ楽しみにしてたのにテニスコートがないんだよ!?くらいの衝撃!!」

「いやそれは大袈裟だろう。」





んな状況になるわけない、と会長は横に手を振る。

いやわかんないよ?有り得ないことが起こるのがこの世だよ?

現にアイスがなかったんだから!!





「それは単純に世田谷が食べ尽くしただけであって、」

「アイス……あたしのアイス……はああ」

「店に買いに行けば解決する問題じゃないかと俺は思うんだが、」

「死ぬ……暑さと満たされなさで死ぬ……!」

「おい世田谷。聴いてるのかおい。」

「アイス―!!カムバーック!!」

「いやだからお前が買いに行けと。」





今のあたしはまさにアイスの亡者!アイス切れで事切れたら化けて出てやるレベル!!

なんでやねん…9月言うてもまだまだ暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか…?

あたしはアイスがなくて死んでしまいそうな感じなんですが世の中の皆さんはどーなんですかそこんところ!!





「別に。そのうち涼しくなるし。」

「いや寒い日に食べるアイスもなかなかおつなもんでしてダンナ」

「よーするに世田谷はアイスが食べられればなんでもいいんだろう?」





ん?

……なんで会長まで機嫌が悪くなってんの?

ひょっとしてテニスコート消えたの?……って、んなわけあるかい。





「かいちょー?」

「……。」

「かいちょう…」

「……会長じゃなくて手塚。」

「……」

「いい加減名字でくらい呼んだらどうだ。あとアイスアイス、アイスのことしかないのか他には。」

「……?」

「世田谷はアイスと付き合ってるのかどーなんだ!?」





……。

……えーっと。

……会長、……なにそれ面白い。アイスと付き合ってんのかってなにそれ。





「会長もテニスばっか言ってんじゃーん……」

「言ってない。世田谷程は言ってない。それと手塚。」

「……テニステニス言われるあたしの気持ちがわかったか」

「……。」





はーあ。

叫び倒したら喉渇いちゃったよ。





「てづか、アイス食べにいこ?」

「……、俺は別に。」

「あたしはテニスは出来んけど、かい……手塚はアイス食べられるでしょ?ね?」





どの方向向いて妬いてんだよ!って。

あたしも人の事言えた義理じゃないな。





「あたしのちょっとあげるから」

「……絶対に嘘だろ。」

「なんでそう言い切れる」

「絶対に無理だ世田谷には。」

「失礼な!あたしだって人にちょっとくらいアイスあげられるわ!!」

「その代わり俺の分を少し貰っていく気だろう?」

「……大正解」





家に無い日はお外でアイス。

愛すべきあなたと一緒にアイス。

夏はもうちょっと、終わらない。




アイス食べたい
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170903


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