台風18号


唸る轟音

叩き付ける雨粒





『諦めろ、世田谷。』





無情の文字列……。





「……あーっ、もう!!」





なんだって!この!3連休に!!

台風!!直撃!!!

諦められるもんなら1週間前の進路予報の時にとっくに諦めてるさ。

それでも諦めきれないのは。





「……無理か」





電車も止まった。

バスは動いてるけどいつ止まるかわからない。

この雨の中徒歩で手塚に来てもらうのは気の毒だし、あたしも行ける気はしない。

向かいの家の窓さえ白く霞んでいる。

ケータイを握りしめたまま、返信を躊躇っていた。

本当はどっか出かける予定だったのに。決めてなかったけど。

どっかでご飯でも食べて思う存分手塚といる予定だったのに。





『……わかった』





駅前の人通りも少ない。

そうだよね、だってこんな日にリスク冒してまで出掛けやしないよね。

手塚が怪我したら嫌だもん。

あたしの我が儘で。





『がっかりする気持ちも解るが、大丈夫、来週も連休だから。』

『そっか、そうだよね』

『その後すぐ中間だけどな。』

『……忘れてたのに』

『来週は勉強会だな!』

『手塚と勉強したら落ち込むからやだ』

『勉強が出来て一緒にいられるからお得だぞ。』

『えー、ケーキとか食べたいですぅ……』

『俺の今年の目標は世田谷を高校生にする、だからな。』





じわじわ近付いている雨風が、窓ガラスを何度もノックした

この台風が過ぎたらきっともうすっかり秋だ。

手塚と一緒に馬鹿言える時間ももう少しだ。





『取りあえず今回の数学の目標は70点。』

『それめっちゃしごく気満々じゃないですか、やだー!』





3連休遊びに行きたかったな。ちぇ。




「……台風め」




荒れ狂う風

飛沫をあげる雫

もしも明日晴れたら、君に逢いに行きたいな。





「台風めーーー!!速く去れーーーーーッ!!!」




台風18号
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
170917


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