月の輝く夜だから


しばらくぼーっとしてた。

お腹もすいてないし、眠くもない。

着信音がして、振り返った。

もう夜になっていた。





「……寝なきゃ」





回る地球の上で

廻る時間の中で

あたしは今一体どこで何しているのか

たまにわからなくなって

教室の窓辺

駅のホーム

お風呂の中





「大丈夫か世田谷。」





たった一言そう言ってもらえるだけでいいのに。

いや、もう、言葉さえいらない。

すっと微笑んでくれるだけであたしを取り戻せるのに。





「……駄目だよ、全然大丈夫じゃないよ手塚」





顔を覆う掌は、自分でもびっくりするほど冷えていた。

ちゃんと寝て

ちゃんと食べて

ちゃんと生きなくちゃ

君がそばに居なくても。





「あたしこんなダメな奴だって知らなかったよ手塚……」





電気を消して

今日はあったかくして

窓の外に明るく月が照らしてる。

ここに居るってこと、証明してくれるように。

君が居なくなって所在無いあたしの影を、

今夜は、かわりに月が照らしてくれている。




月の輝く夜だから
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
171119


- 53 -

*前次#


ページ:



ALICE+