東京の雪


なんなの?

なんなのこの状態は?





「一体何が起こったって言うの!!?」

「良かったな世田谷、積もったじゃないか。雪。」

「……積もった……けど……」

「一週間前からそわそわしてたじゃないか。」

「積もったらいいなって言ったけど……こんなに積もれなんて言ってない!!!」

「そんなこと俺に言われても。」





授業中から静かに降り出した雪はあっという間に目の前の景色を白く埋め尽くし。

昼ご飯を食べる頃には大雪警報が発令されていた。

ここ東京ですよ!?21世紀の!!





「電車が止まるかもしれないんで早く帰れと言われた。」

「マジか……もうそんななのか……」

「……もし帰れなくなったら世田谷の家に泊まらせてもらおうかな。」

「はい……?」

「冗談だ。先に出るよ。」





ぽんっと頭を撫でていった。

風切音が耳元でごうごう唸っている。

誰が電車が止まるほど積もれって言った?

誰が家に帰れなくなるほど降れって言った?

大粒の雪が、学ランの背中を徐々に見えなくさせる。





「―――まって!てづか!!」

「走ると危ない!!」

「まって!!バス……!」

「バスなんか待っても来やしない。なにもかもが雪のペースだ。」





バス停の前には学生だけじゃない、長蛇の列ができていた。

これは本当に駅に行っても電車なんか来ないんじゃないの……?





「泊まる!?マジで。電話しよっか?家に」

「いやいやいやちょっと待て、流石にさっきのは冗談だ本当に。」

「いつ帰れるか……というか雪まだ降ってるからホント電車止まるんじゃ」

「そうなったら最悪走って帰る。」





セーラー服の肩に積もり始めた雪を払いのけてくれる。

歩くたび滑りそうになって左手にしがみ付いていた。

こんな中走れるわけがないじゃん、幾ら手塚だって無理だよ。

横の車道だってさっきから全然動いてない。





「雪の東京って不便なだけじゃんね……」

「……そうだな。」

「もう雪積もれなんて言わない」

「雪女?」

「雨女からレベルアップした!!!」

「雪女の家に泊まろうと考えた俺はよっぽど……、」





駅はやっぱり大混雑で、中にさえ入れなくて。

ウチでお茶してる間に手塚は連絡とって、なんとか迎えに来てもらえることになった。

東京に雪は積もらない方がいい。





「別に雪じゃなくても泊まってけばいいよ」

「……大胆だな世田谷は。」

「氷漬けにしてやろうかー!!!」

「たまにそうやって実力を発揮するから、怖いんだよな世田谷は。」





ドラマみたいにさらさら降るだけでいい。

そのほうがこの街のためにもきっといい。



東京の雪
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
180128


- 14 -

*前次#


ページ:



ALICE+