四月一日
「あの、」
「なに?」
「折り入って話が。」
「……なに改まって」
「……あの。」
「うん」
「……アレ、を、」
「は?」
「押してみたい。」
「別にいいけど……そんな改まって言うこと?」
「いっぺんでいいから。」
がたん!!!
「急に立つな世田谷、危ない!」
「嘘でしょ!?押したことあるでしょ!!」
「ない。小さい頃からこの方一度も……。」
「バスのピンポンくらい!!!」
今日が日曜日で良かった。
客が少ない時間帯で良かった。
運転手さんはびっくりしてたかもしんないけど、けど、でも、嘘でしょ!!
ぴんぽーん
『次、停まります』
小さい子がいなくて良かった。
手塚が遠慮する要素なくて良かった。
なんてちっちゃい、ささやかな、でも憧れてやまない、夢。
「……世田谷、今日何月何日か覚えてるか。」
「は?4月1日だけど……だけど!?」
「いやあ午前中に言えて良かった。エイプリルフールって午後は無効らしいな。」
「やっぱ嘘やったんかーい!!!」
「その界隈では神速の手塚と呼ばれてたんだぞ。」
「どの界隈だよマジか……!!」
「嘘だ。」
「おのれー!!!てづかー!!!」
「さあ昼飯何食べよう。何が食べたい?世田谷。」
もう!
もう!!絶対!!!
覚えとけよ来年のエイプリルフール!!
来年も再来年もその先もずっと!覚えてやがれ!!!
四月一日
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
180401
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