抱きしめてdarlin'


腕の力を緩めた瞬間





「……は……」





と、手塚が溜め息を吐いたので。





「……ごめん、苦しかった?」

「……いや、違うんだ、違う……。」





違う、と言いながら振った左手が、すっと口元を隠す。

見る見るうちに顔が、紅くなる。





「え!?え!!?どした手塚!!」

「いや、違う!ちょっと待て!!世田谷!!違うんだ!!!」

「そんな苦しかった?そんな力入れてぎゅってしてない―――……」

「俺も!!なんて言ったら良いか解らないんだ!!」





眼鏡の奥の瞳がうっすら潤んでいる。

そんな焦ってるとこ初めて見るし。

なんであたしよりカワイイ顔すんの?





「行かないで欲しいって……、」





……んであたしが言えなかったことを!あっさりと!!この男は!!!





「……世田谷は何回思ったんだ?」

「そんなん数えてない」

「……だよな。」

「……」

「……。」

「離さないよ?」





九州も

ドイツも

世界の何処でも、宇宙の果てでも。

置いていかれてもあたしは絶対離さないよ?





「……そうかこれって覚悟って奴なのか……。」

「なにそれ全然かわいくない!恋とか愛とか言ってよ!!」

「もうちょっと腹の底にズシンと来るようなもんだったぞ今。」

「……じゃあ、……覚悟しなさいよね」

「……ハイ。」





だからなんであたしよりカワイイ顔で、

……今度はあたしの方が紅くなって俯いた。

なによ、絶対離さないんだからね。

だから今度はちゃんと、行かないでって言うから。

もう置いていかないでって言うんだから。あたしも。
抱きしめてdarlin'
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
180408


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