満瑠の歓迎会をやろう!!
雄のその一言で、任務後、食料を調達し、健人の部屋へ集まる。歓迎会というもの自体、企画する側であっても参加する側になったことがない私としては少しこそばゆい感じがした。そもそも、健人はこういう催し物はあまり好きじゃないのでは?元気いっぱいの雄と違い、物静かでクールな健人がノリノリで参加するイメージが全く湧かない。そう思いながら視線を向けると、健人は意外にもあっさり承諾し、部屋が散らかっているからという雄の言葉を聞いて、自分の部屋をその場所に選んだ。
「満瑠はどうして高専へ来たの?皇家って別に呪術師の家系って訳ではないんでしょ?」
「あぁ、夜蛾先生からのスカウトだ。私の持つ特異体質と術式が呪術界に必要だと聞いてな。それだけ戦いを好むなら呪霊と戦えと言われた。」
任務帰り、補助監督に我儘を言って色んな店で買った食料を袋から出す。雄はかつ丼、健人はホットドッグ、私はお寿司。それぞれを頬張りながら歓迎会という名の座談会を繰り広げる。
「夜蛾先生とは知り合いなのか?」
「父の同級生。昔からよく知っている人だ。」
「なるほどな。実は私もスカウトされてここに来た。」
「へぇ、健人も。スカウトされてここに来るものは多いのか?私はこの界隈のことはあまりよく知らないんだ」
「まぁ、確かに多いだろうね。家系で入学してきたのなんて、僕たちの先輩だったら五条さんが一番分かりやすいんじゃないかな?」
御三家の一つである五条家の当主。なるべく関わりあいたくないと思っていた人物が早くも第三者の口から発せられて満瑠は一瞬眉間に皺を寄せた。
「2年の先輩なんて禄でもない。なるべく関わらない方がいいぞ、満瑠。」
「是非ともそうしてもらいたいものだね。」
健人の言葉を聞いて笑みを浮かべる。夜蛾さんが五条悟率いる2年生の担任を務めていることは知っていた。その夜蛾さんにでさえも関わらせないよう忠告をしていたんだ。同級生から改めてそう言われたのならば、関わることなんてそうそうないだろうと今の私はそう思った。
「その目隠しも特異体質と何か関係があるんでしょ?」
「やっぱり分かるか?」
「それだけ派手に隠されているとな。」
2人に初めて目隠しのことに触れられ、満瑠は肩肘をついてにんまり笑った。
「紫眼、って聞いたことある?」
首を傾げる2人に微笑みながら、目隠しを外す。黒いそれから覗かれたのは長い睫毛に縁どられた綺麗で透き通った紫色の眼だった。初めて晒された満瑠の素顔に七海と灰原は息を呑む。
「私のこれは物質の性質を視認できる目だ。」
「五条さんの六眼とはまた違った目ってことだよね」
「そうだな。ずっと開放していると入ってくる情報量が膨大で疲労する。だから普段はこの目隠しで目元を覆って保護しているってわけだ。」
「しかしそれ、ちゃんと見えているのか?」
私の目隠しを一瞥して問うた健人に、それを手渡す。不信気味に目隠しをつけた健人を見ながら、普段私はこういう風に見られているんだろうなと、不審者極まりない風貌に苦笑を浮かべた。
「凄いな」
「特別仕様だ。紫眼の制御を目的として作られたものだから、視覚に影響は出ない。見た目によらず、よく見えるだろ?」
目隠しをつけたまま健人がキョロキョロと辺りを見回す。「僕にも貸して!」その様子を眺めていた雄が面白うそうだと目を輝かせ、健人から渡されたそれをつける。「何これ、凄い!ちゃんと見える!」子どものようにはしゃぐ雄が思った通りの反応を示して、健人と一緒に笑った。
「因みにそれ、六眼の呪力認識も阻害する。まぁ、それは単に私が盗み見されたくないだけなんだけど。」
へぇー本当に凄い目隠しだね!感心しながら取った目隠しをまじまじと見つめる雄の傍ら、
「皇家のことは都市伝説と認識されていたが、満瑠の存在がその実在を証明した。満瑠の持つその特異体質のことを私たちは深くは知らない。だけど、五条さんには気をつけろ。あの人に興味を持たれたら、それこそ終わりだ。」