風間さんみたいな人は苦手だ。
何を考えているかわからない。
どうしていつもにこにこしているのだろう。
彼の言葉は私の調子を狂わせる。
変な人だ。
私の平和な日常を崩してくる。
つかみどころがない。
会いたくない。
会うのが怖い。
……それは嘘だ。
こんな時まで、私は素直になれない。
本当は。
本当は、もっと会って話をしたかった。
もっと仲良くなりたかった。
以前と同じ、私の本心が次々と浮かび上がる。
そしてそれが私の後悔をより大きいものにする。
もうあの日あの時には戻れないのに。
今更ああすればよかった、こうしたかったと思っても、自分を追い詰めるだけだ。
そう言い聞かせても抑えきれないほど、風間さんへの気持ちは膨れ上がっていたのだ。
自分でもどうしていいかわからないほどに。
出会いの日を思い出す。
あの日の彼はにこにこと笑っていた。
いや、あの日だけではない。
会うたびいつもにこにこしていた。
相対した時も、すれ違いざまでも。
もっとその笑顔を見たいと思った。
その笑顔に惹かれていた。
笑顔だけではない。
ちょっと意地悪にからかうところ、さり気ない気遣い、どんな時でも話しかけてくれるやさしさ。
彼と接したのは、時間に換算すればほんのわずかだ。
もっと知りたい。
もっと一緒に過ごしたい。
もっと、仲良くなりたかった。
吐き捨てた嘘と積もる後悔
でももう、私は彼の隣にはいられない。
望んで彼に会うことができない。
私の望む場所には、ちがうひとがいるから。
やりきれない思い、後悔、胸の傷、風間さんへの思いは消えることなく。
彼にいつ会うかわからない学校へ、明日からもまた通うのだ。