ほのかに色づく心模様



新堂さんとの約束を経て、私は早速翌日の放課後、校門前で待機していた。
必要な道具は新堂さんが持ってくるということで、準備といえば体育着に着替えただけ。
何となく居心地が悪くて落ち着かない心境でいると、まもなくして新堂さんが走ってきた。

「悪い、待たせたな」
「今来たばっかりなので大丈夫です」

移動しながら説明すると、そのまま外に向かって歩き出す新堂さんに続いて、私も校門を抜けていった。



昨日の公園のベンチに腰掛けると、紙が数枚挟まれたバインダーとボールペン、ストップウォッチを手渡された。
私が持ったバインダーを、隣から指差しながら使い方を説明してもらう。
走り込みのコースと周回数、タイム、コンディション等々…。
説明を必死に頭に押し込んでいるけれど、新堂さんとの距離が少し近い現状も気になってしまう。
頭を突き合せて話し合っている構図。
お互いの肩や腕が微かに触れているような感覚。
そっちに意識を持って行ってしまわぬよう、新堂さんの真剣な表情に同調するように、私はその考えを振り切るよう努めた。

「一つ質問があるんですけど」
「おう、何だ?」

一通り説明を受け、頭の中で整理してから、浮かんだ疑問を聞いてみることにした。

「私も…走れるようになった方がいいでしょうか?」
「………」

予想外の質問だったのだろうか。
少し目を見開いて、大きく数回瞬きをした新堂さんは、すぐに答えてくれなかった。
するとふっと俯いて笑い、再び私に向き直った。

「そりゃあ一人で走るより二人の方が楽なのは確かだな。でも今すぐには無理だと思うぜ。気持ちは嬉しいけどな」
「う……そうですよね…」
「だが」

一方予想通りの返答に、分かっていながら若干落ち込んでしまう私。
そんな私に新堂さんはすぐ付け足すように言った。

「倉田がこのリズムに慣れたら…その時は、お願いするかもしれないな」
「……!私も、頑張ります!」

微笑みながらの提案に、私は満面の笑みで応えた。
確かに今すぐには難しい。
しかしせっかく声をかけてもらえたのだから、できる限りの手伝いはしたい。
ただ立ちっぱなしで記録するだけではなく、運動している側の立場でも…。
その熱意を汲み取ってくれた新堂さんに感謝しながら、活動へのやる気を燃やし始めていた。



どきどきしたり、相手の力になりたいと思ったり。
一喜一憂する私の心は、その彩りを増していく。



EHL.