窓から見下ろす校庭



昼休みは校庭が戦場のようになる。
…戦場というと大げさだが、放課後は部活動の練習で使われるため、自由に使える昼休みの時間は生徒たちの取り合いの様相を呈する。
簡単に言えば、外で遊びたい生徒たちで溢れかえるのだ。

「今日出た宿題めんどくさくない?写させてよ〜」
「自分で頑張りなさいっ」
「けち〜」
「………」

友人たちの会話を何となく認識しつつ、私の視線は校庭に釘付けだった。
いくつものグループで賑わう生徒たちの中で、見知った一人の姿に視線が留まる。
交友関係が広いらしく、毎回フルメンバーを揃えてサッカーに興じている。
体を動かすことが好きらしく、どんなスポーツも卒なくこなす彼は、活き活きとした表情をしていた。
ミスをして笑いながら謝っていたり、ゴールを決めた味方の頭をぐしゃぐしゃにして労ったりする姿に、あまり見ない一面を垣間見るのだ。
その珍しさに惹かれ、昼休みは毎回こうして校庭を眺めてしまう。

そのうち、彼がゴールを決めたらしく、周囲にメンバーが集まる。
両手でガッツポーズを作りながら喜びを共有する姿に、思わず頬が緩む。

「……!」

ふとした瞬間、彼がこちらを見て来た。
そしておう、と言っている姿が浮かぶように、片手を挙げて軽く振っている。
心臓が跳ね、頬にさっと熱を帯びる感覚がありつつ、私も小さく手を振って返した。
それを認識したのか、親指を立てるような仕草をして競技に戻っていった。

私が見ていることに良く気づいたなという気持ちと恥ずかしさで悶々としていると、目の前で友人たちが割って入った。

「ちょっと〜!また新堂くん見てるの?」
「ほんと、好きよね」
「う…いいじゃない別にっ」
「素敵な彼氏さんだもんね〜?」
「ちょっと!」

…そう。
毎日のようにこうして校庭にいる彼を眺めてしまうのだ。
いつからかそれに気付いた友人たちは、それも毎日のようにこうして茶化してくるのだった。



EHL.