「………んん」
頭上から聞こえてくる鳥のさえずりを認識し、朝を迎えていることに気づく。
同時に、自らの腰にしっかりと回されている両腕が視界に入り、ふっと笑みをこぼす。
「恵美…好きだ」
「私もだよ、誠」
恋人である新堂誠が自宅に泊まったのは昨晩のこと。
一人暮らしをしている私の部屋へ遊びに来てくれたのだった。
…半分は、ゼミの課題を一緒に片付けるためなのだが。
日中で何とか課題をやっつけ、一緒に夕ご飯を作り、お風呂に入った。
こうして好きな人と一日過ごせるのは、とても幸せなのだと思う。
風呂上り、髪を乾かして戻った私を優しく抱き寄せると、彼は頬を撫でながら触れるだけのキスをした。
それでは物足りなくて、背伸びをしながらもっと、とせがむと、彼の頬はさっと赤くなった。
「…ばーか」
頬を優しく撫でていた手は後頭部に回り、一瞬互いの目が合う。
射貫かれるような鋭い視線。
すくんでしまうような感覚に襲われた刹那、彼の唇は乱暴に私の口を塞いだ。
「………んっ」
息苦しさにめまいを覚えながら、私は必死に彼に手を伸ばした。
そうして日付が変わろうかという頃、部屋の照明を消した。
眠気にまどろみながらベッドに入ると、彼の腕が私をとらえた。
彼の表情を見ようと顔を上げたが、彼が胸に顔をうずめて来たので見ることはできなかった。
「ふふ、かわいい」
「うるせえな」
普段は強気で頼りがいがあるのだけど、時々こうして子供のように甘えてくる。
離すまいとしっかり組まれた両腕をさすりながら、私も彼に頬ずりをした。
「おやすみ、誠」
「おやすみ」
彼に包まれるぬくもりに愛おしさと安心感を覚えながら、眠りに落ちていった。
(………腕、ずっとこのままだったんだ)
ふふ、と再び笑いながら、彼の髪を撫でる。
起きるかな、と思ったのもつかの間、彼の腕はさらに力をこめ、私の体を引き寄せた。
(…おはようは、まだ先かな)
私も同じように彼の頭を抱き寄せると、再び目を閉じた。