「恵美ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう玲子ちゃん」
ぱあっと明るい笑顔で出迎えた玲子ちゃんは、開口一番お祝いの言葉をくれた。
それだけで心が弾むような、楽しい気持ちになる。
「玲子ちゃんに祝ってもらうだけで、誕生日を迎えられて良かったなって思うよ」
「も〜、そんな辛気臭いこと言わないの!」
そう言って頬を膨らませたかと思うと、再びにこっと笑って、背中に回していた手をバッと前に突き出した。
「じゃ〜ん!プレゼントもちゃんと用意したよ!」
「わあ…ありがとう!嬉しい」
「ねね、開けてみて?」
ふふふ〜と、笑っているような鼻歌を歌っているような、とにかくるんるんと楽しそうな玲子ちゃん。
思わず私も微笑みながら、受け取った包みを開いた。
「……料理本?」
「そう!花嫁修業には必須でしょ?」
「え、花嫁って」
その単語で、先日の会話がフラッシュバックした。
『何歳までに結婚したい?』
『何歳だろう…いい相手がいればかなあ』
『それまでに家事覚えないとね』
『私、料理できないからなあ…』
…そう、玲子ちゃんに料理ができない宣言をしたばかりだったのだ。
それを踏まえてプレゼントを選んでくれたのは嬉しかったのだけど、それ以上に私の結婚を前提にした話の運び方にむず痒さを覚えた。
そんな私を、玲子ちゃんはにやにやして見ている。
「…今、彼氏のこと思い浮かべたでしょ?」
「え!そ、そんなこと」
「恵美ちゃんわかりやすいもん!顔赤くしちゃってさ」
「もう!」
「あはは!…でもね、そんな恵美ちゃんと友達でいられて嬉しい。これからもよろしくね」
笑顔から一瞬真顔に戻った玲子ちゃんの表情を、私は見逃さなかった。
それは、私の台詞だよ。
そう心で呟きながら、笑顔でありがとうと返した。