echoing
「……っ、……」
瞳が開かず、声も出ない。指の一本も自由に動かすこともできないのに、思考だけは明瞭だった。
体には常に痛みが走り、悲鳴のような、怒りの雄叫びのような、とにかくもう聞いていたくないくらいに苦しい星の声が脳に叩きつけられるように響く。
ここがどこなのか、わたしが何をしているのかもわからない。
星の声が大きく響き、遠くで聞こえる誰かの声がかき消されている。
——ほう、古代種とも異なる全く新しい生命体か、興味深い
——宝条博士、解析データです
——ああ、次はこれだ
——かしこまりました
何を言っているのかはわからないが、男と女が一人ずつ。その声もすぐに遠ざかって消えてゆき、再び体の痛みと星の悲鳴だけが全てになった。
(……誰か、助けて…)
動かない口で、そう叫ぼうとするが声にならずに、ごぽりと泡がこぼれた気がした。
その瞬間、体が唐突に重くなって、意識が遠のいてゆく。倒れる前、最後に見たはずの赤い光が、どこか遠くで輝いた。
「もう少しだけ、待ってください……すみません……っ」
「……ぅ、」
その日は自分のあげた呻き声で目を覚ました。
視覚も聴覚も奪われた世界で、腹から胸にかけて走る痛みに思わず痛みの走る場所を抑えたが、そこにはいつも通りの肌の感触があるだけだった。
——ライフストリームの変異による肝臓の再生が確認されました
——ほう、取り出した臓器はどうなった
——それが………
相変わらずうすぼんやりと聞こえる会話は何を言っているのかは分からない。今日はとん、と外からガラスかなにかを叩くような音が聞こえた気がした。そもそもわたしは今どこにいて、何をさせられているのだろう。時折うっすらと意識が戻ってはそんなことを考えて。
でもまたその意識も遠ざかってゆくのだった。