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「ここが実験施設のある地下、かな」
「そのようですね」
通気口は地下のありとあらゆる部屋へと伸びている。
名前はその見取り図を思い浮かべたが、これ以上のことは記憶の地図に頼るのは難しい。しかし彼女は、その四方八方に張り巡らされたトンネルのある方向だけ、一本線を描くように埃のない部分があることに気がついた。
「誰かが、ここを通って先へ進んだ…?」
ーー見取り図を頼りにできるのはここまで。そもそも名前はこんなゲリラ戦まがいのことなどしたことがないのだから、これ以降それぞれの通気口がどこへつながっているかなどだいたいのことしか分からない。見る限りその「誰か」の通った方はおそらく、施設の心臓部へ通じている。
「エイト、ありがとう。ここからはあなたの手を借りるのも難しそうだから…」
「マスター、何かあればいつでもお守りします」
「うん。よろしくね」
ふっと溶けるようにサイレント・マジシャンLv.8の姿は消えて行った。
「真っ白なワンピースですることじゃあないけど、やるしかないか…」
小さく呟くと、「誰か」の後を追うように通気口を這って進み始めた。
「なにが起きてるかはわからない、けど、止めないと…」
この島は今迄も何度も不思議な事象に見舞われてきた。それはこの島の環境が特殊であるということもあるし、それは彼女がこの島で研究を行う理由の一つでもある。しかし、今回はそれらとは比べ物にならないくらいに、名前の中で嫌な予感が拭いきれなかった。
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