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ギースのライフが0になったのを見て、十代と名前はヨハンに駆け寄った。かなり消耗しているようで、息を乱している。


「おつかれさま、ヨハン」
「ああ、ありがとう…さっきも、サファイアペガサスを助ける手助けをしてくれただろ?」
「大したことじゃあないよ。2人の、絆の力だよ」


微笑む名前の腰を抱いて、ヨハンは微笑んだ。


「十代も、ありがとう」


ヨハンがそう声をかけると、負けて倒れていたギースが話しだした。


「俺だって…心を通わせた精霊がいたんだ…だが…俺の友だったカードは奪われてしまった…友を失い、心の痛みに耐え…耐え切れなくなった俺は…心を閉ざした…」
「お前も…」
「所詮、人間に精霊と心を通わせる資格なんてないのさ…そんな純粋な心の持ち主なんて、この世に居やしないんだよ…」
「いや違う!それは…!」


ーー精霊が、この男の、心の闇…
名前は痛ましげにそれを見つめる。そのとき、ヨハンの手首と、ギースの手首に着けられたデスベルトが光りだした。エナジーを奪われたヨハンをとっさに名前が支えた。それをみて十代は反対側に駆け寄り同じように支える。すると突然、ギースの体が光りだした。そしてその光が消えると、そこにあった筈のギースの姿は跡形もなく消えている。


「大丈夫か!?ヨハン!」


それをみて前へでようとしたヨハンを、慌てて2人で支えた。


「十代…こんなデュエルは、もう終わらせよう」
「ああ、コブラはすぐそこにいるはずだ。とっととこんな馬鹿げたこと、やめさせないとな!」


そう話しながら、2人がかりでヨハンを壁際へと座らせた。座り込んだところで、十代が口を開く。


「それで、お前は誰なんだ?」
「なんだ、もう会ってたんじゃなかったのか」
「うん、でもあなたが大変だって聞いてたから、説明する暇がなくて…」
「名前って名前だってことしか聞いてないぜ」


不思議そうにそう尋ねる十代。名前は困ったように笑っていた。


「わたしは、この島で精霊を研究してる藤原名前。ヨハンからデスベルトの話を聞いて、嫌な予感がして此処にきたの」
「前にこの場所について教えてくれたヤツがいたって言っただろ。あれが名前なんだ」
「そうだったのか」
「よろしくね、十代くん」
「ああ、十代でいいぜ。よろしくな、名前」


ヨハンを挟んで、名前と十代は握手を交わした。



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