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「ほう、サイレントマジシャン…神々しいモンスターじゃな」
「やだ、私たちだって世界にたった一枚しかないのよ」


綺麗な光景に見惚れていたヨハンの耳に入ったのは聞き慣れた声。アメジストキャットとエメラルドタートルが楽しそうに此方を見ていた。アメジストキャットは嫉妬まじりの目線を向けている。


「彼らは、あなたの?」
「ああ!俺の宝玉獣たちさ」


ヨハンがそう言って紹介すると、名前は嬉しそうに呟いた。


「綺麗な猫…」
「あら、あなたもそう思うの?仲良くなれそうだわ」
「ええ。わたしは名前。よろしくね、アメジストキャットさん」
「どうぞよろしく」


ツンとした表情の向こうに隠しきれない喜びを滲ませたアメジストキャットに名前は楽しげで。互いに互いのモンスターを家族と呼ぶ者同士、通じ合うものがあるのだろうか。見ればペガサスの姿をした精霊とサイレント・マジシャンレベル4が挨拶を交わし、トパーズタイガーやエメラルドタートルはレベル8と何やら話しているようだ。そう狭くない部屋には精霊と、彼らを見ることのできる人間が2人。それはどこまでも優しい光景だった。ヨハンは全ての人に精霊が見えるわけではないし、見えない者だって同じようにデュエルモンスターとの絆を育むことを知っていたけれど、こうして直接見える者といっしょに、自分の家族と一緒に優しい時間を過ごせることがたまらなく嬉しくて。まだ2度しか会っていない名前だけれど、十代に出会った時とはまた違う喜びに満たされながら、彼女とはこれから長く関わっていくことになるだろうという淡い予感を抱いた。



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