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夏の匂いのする夜。
現代では見られないであろう、満天の星空に溜め息が零れた。
現代人はいつでも輝く人工の光を手に入れた代わりに、自然の光を失ったのかもしれないと思うと切なさを感じる。





「なーにしてるの?」

「……佐助」


後ろを振り返ればいつもの迷彩模様。
これをいつから"いつも"だなんて思うようになったのだろうか。



「お子様は寝なきゃだめでしょー?」

「佐助も起きてるじゃん」

「俺様はお仕事だからいーの」


ふふん・なんて笑う佐助にムッとすれば、今度は困ったように笑って柱に寄り掛かった。


「眠れないの?」

「ん……なんか、ね…」



ホームシック、とでも言うのだろうか。
なんだか妙に寂しさを感じて、一人ではないけれど独りだと考えてしまう。
いっそこのまま空気に溶けてしまいたくなるような……




「帰れるよ…なんて気休めなこと確証もないから俺は言えないけど、ここには大将がいる。旦那だっている。我慢しないで甘えてみたら?」


意地張ってないでさー、なんて肩をすくめる佐助に苦笑い。
なんでこう…考えを読まれてしまうのか。
忍だから?



「…あ、オカンだから…?」

「ちょっとなんか聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!?」

「気のせいだよ、オカ…佐助」

「もう大分言ってるからね!?俺様オカンじゃないから!!」



わーわー喚く佐助に(と言っても夜遅いので小声だけど)少し、少しだけ気持ちが解れた。
それが嬉しくて。



「…佐助にも甘えていいのかなー?」

なんて言えば。

「……まぁ、暇な時とかなら聞いてあげてもいいけどー?」

なんて笑うから。
また少しだけ寂しさが薄れた。






「……ありがと」

「どういたしまして」






ト レ モ ロ
満天の星空のもとでお喋りを


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