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「ヒーロー殺し…ステイン」

なまえは先生ことオール・フォー・ワンから伝えられたその人物に聞き覚えがあった。

「それって、ニュースでもよく見る、ヒーローばっかり狙って殺してる人?」

「そう、彼はこれまでに何人ものヒーローを殺して世間を騒がせている。
そんな彼をね、弔と会わせることにしたんだ。」

「…なんか揉めそう。」

「はは、なまえの言う通りだね。


じゃあなまえに問題だ。
何故僕は弔に彼と会わせると思う?」


「……。」


しばらくなまえは考え込む。

「弔とヒーロー殺しが一緒に行動して、
何か事件が起きて、それが世間に知り渡ったら、弔の元にそういう思想の人達が集まる。

先生は、弔をそういう人の中心になる存在にしたい?」


「大正解。さすがはなまえだ。」

「でも、ちゃんとうまくいく?

弔、上手くいかないとだいたい壊しちゃうもん。」




「そのためになまえがいるんだろ?」

「私?」

「君と会う前の弔は誰にも心を開かず、ただひたすらにヒーローへの、この社会への憎しみを胸に秘めていた。

それだけで終わってしまう人間はこの世に山ほどいる。

でも弔は君という特別な存在が出来て、変わり始めている。実際に行動しだした。
まあリーダーとしての弔はまだまだ足りないことだらけだけどね。
人は突然成長することは出来ないんだだ。ひとつずつ経験して、失敗して、考え、成長していくんだ。
君がそばにいる限りもう弔は歩みを止めないだろう。」

いずれは、死柄木弔が自分のに代わる存在となる。
そして彼女はそんな彼に最後まで寄り添う。


「そこまで先を考えて私と弔を引き合わせたんだね。」

「僕はきっかけを作っただけさ。」




「先生が思い描いた通りに私はちゃんと出来てる?」


何もかも見透かされているのは悔しいので少し皮肉っぽく聞いてみた。


「ああ。君達が出会えてよかったと僕は心から思うよ。」




「ふふ、良かった。」

そのおかげでこうして一緒にいられるのだから。






「もちろん、なまえもまだまだ学ばないといけないな。
弔はまだ完璧とは言えない脳無を
ヒーロー殺しと行動するため、
3体持っていってしまったよ。
脳無をさらに完璧にするには君の頭脳も欠かせない。」

「う…なかなか分析が難しくて…それはもうちょっと時間をください…」

「はは、期待してるよ。」



もうすぐ君たちの前から『先生』
はいなくなってしまうんだから。



そんな思いとは裏腹になまえは

「先生のことも治せたらいいのにな。」

と呟く。
さすがにこれはどうしよう出来ない。

ワン・フォー・オールの力はそれ程のものだ。

「オールマイトはどうやらその力を緑谷出久に継承したようだね。」

「えっ!ワン・フォー・オールってそういうものなの?似てる個性だなとは思ってたけど。」

「そうだよ。ちなみにオールマイトはその力を弔の祖母から受け継いでいる。」

「ええー!」


やっぱりこの世は知らないことばかりだ。