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珍しく弔の方からアジトのバーに来るように言われたなまえ。
学校帰りにそのままバーに向かった。

「おじゃましまーす…あれ?」

てっきり黒霧や弔がいると思っていたがそこにいたのは



「荼毘さん、こんばんは。」

「 あ?」

この前同じ場所で偶然会った男。
1度あったはずだがその男は少し驚きの表情を浮かべている。

「荼毘さん?」

「…おまえ学生だったんだな」

あ、そう言えば今日はこの前と違って制服着てるからか。

と納得するなまえ。

「そうなんです。私女子高生なんです。」

見えませんでしたか?
と笑いながら聞くなまえ。


「でもなんつーか」

制服を着たなまえの全身を上から下までもう一度見やる。


確かにこれはそそるわ。


「?」



「つーか死柄木の奴、餓鬼は嫌いとか散々言ってた割に立派にロリコンじゃねーか…」

「それ本人が聞いたら絶対怒りそう。言っちゃダメですよ」


荼毘にはどう見てもなまえは普通の何の変哲もない女にしか見えないが、死柄木弔という男が
彼女に固執する理由は色々あるのだろう。


例えば

「死柄木が触れても何もなかったのはなまえの個性のおかげか?」

「あ、そう言えば。伝えてなかったですね。私の個性は私の意思に関係なく相手の個性を消しちゃうんです。」


荼毘さんの炎も利きませんよーとあっけらかんと言うなまえ。



「そりゃ確かにつえーな…」

「でも個性が効かないだけなのでグーで殴られたら怪我するし、刺されたりしたら死んじゃいます」

「まァとりあえず死柄木がなんで手放さない理由はわかった」

「あ、あと怪我とかも治せるので荼毘さんがもし怪我しちゃったら言ってくださいね」

「そりゃどーも」


改めて彼女のことを知るとますます興味が湧いてしまう。

(死柄木の女じゃなかったら強引に奪ってたかもな)

さすがに相手が悪すぎる。


「でもなんで私たち呼ばれたんでしょうね?」

「あー?そういやあいつ自分で呼び出しといてどんだけ待たせる気だ」

そんな話をしていたらちょうどのタイミングでワープゲートが現れる。


「あ、二人ともおかえりなさい」

「なまえもういたんだ。待たせてごめん」

「オイオイ、俺には謝罪なしか?」

「そんなことより荼毘、なまえに何もしてないよな?」



何やらまた言い合っている。しかし前のように険悪さはないからしばらく放っておこう。




「何か飲みますか?」

「ありがと黒霧、ジンジャーエールがいいな」


もらったジンジャーエールを飲み終えた頃、
ようやく2人の問答が一段落し本題が伝えられる。

「ヒーロー科の夏の林間学校…?」


そんなものがあるのか。せいぜいうちの科は缶詰になって勉強させられる夏合宿しか無かったな。
と思い返すなまえ。

「そこに荼毘やトガ、その他何人かに行ってもらう」

「で?コイツもそこに連れてくのか?」

「馬鹿言え、大事ななまえをそんな危ない目に合わせるわけないだろ」

「でも私がすること何かあるんだよね?」

「脳無を一体、コイツが使えるように改良して。なまえならできるよな?」

「うん。大丈夫」

「へー、なまえそんなこともできんのかよ…」

「ふふ、私こう見えてけっこう賢いんですよ」


そう言って綺麗な顔で自分に笑いかけてくる彼女に



「こえー女…」

そう思わずにはいられない荼毘だった。