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それからは仕事の軽い愚痴を言い合っているのを聞いたり、みんなそれぞれの趣味なんかを聞かせあったりした。
明日香さんは読書や音楽を聴くこと、由季さんはスイーツ屋さんめぐり、十代さんは釣りやキャンプなどアウトドア系で、ヨハンさんはもちろん宝玉獣が趣味とのことだった。
もう皆さんもご存知かもしれませんが、私も宝玉獣が大好きです、と言うと、隣に座っているヨハンさんがにこりと笑いかけてくれたのが嬉しかった。
やがて歓迎会も終わりを迎え、解散ということになった。みんなでぞろぞろと居酒屋から出ると、少し火照った顔に夜風が当たって心地いい。
「じゃあ私と由季はこっちだから」
「オレも明日香たちと同じ方向だな。ヨハンは逆方向で…ユリは?」
「あ、私もあっちです。ヨハンさん、途中まで一緒に帰ってもいいですか?」
「ああ。そもそも女の子1人で夜道なんか歩かせられないしな。ちょうどよかったよ」
「お疲れ様、また週明けに」と言い合って、私たちは解散した。
静かな夜道に、私とヨハンさんの靴の音が交互に響く。歓迎会の最中は宝玉獣の話があまりできなかったから、すぐその話題で盛り上がるかなと予想していたのだけど、ヨハンさんは黙ったままだった。
ちらっと隣を歩くヨハンさんの横顔を見る。
何杯かお酒を飲んだあとのその頬は少し赤く染まっていて、会社で見せる顔とは違った表情に少しどきりとした。
すると私の視線に気づいたのか、ヨハンさんがこちらに目を向けた。
「…あ、悪い。ちょっと考え事してたんだ」
「考え事、ですか?」
「あぁ。…その、気になったことがあってさ」
「?」
なんだろう。言いづらそうにヨハンさんは指先で頬を軽くかいている。頭に「?」マークを浮かべていると、ヨハンさんは意を決したように私に言った。
「…恋人がいた、って言ってただろ」
「ああ、その話ですか。大学生の時だから、もう2年も前ですけど」
「そいつのこと、まだ好きだったりするのか?」
「え…?」
立ち止まり、じっと私を見ている。
どうしてこんな風に尋ねるんだろう。初めて見る真剣な表情に戸惑ってしまった。
「別れてしまった今でも大事な人ではありますけど…好き、という気持ちはもうありません」
「…そっか。そうなんだ」
「はい。けど、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「え?えーっと…いや、その…気になっちまっただけさ。…行こうぜ」
くるりと前を向くと、先ほどまでよりも少し早いスピードでヨハンさんは歩き出した。その耳が真っ赤に染まっているのが見えて、私は再び疑問符を頭の上に浮かべるのだった。
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