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あのあと、ヨハンさんは私の住んでいるマンションの前まで送ると申し出てくれた。それは悪いからと一度断ったが、「夜遅くに女の子を1人にさせられない」と強く言われ、そのまま押されてしまった。
「あ、ここです。私が住んでるマンション」
「へぇ、ここなのか。静かでいいとこだな」
その通りで、閑静な住宅街の一角に私の家はあった。夜はせいぜい虫の鳴く音くらいしか聞こえてこない。
「それじゃ、ヨハンさん…今日はありがとうございました。こんな夜遅くなってしまってすみません」
「いや、送れてよかったよ。やっぱり1人じゃ心配だからさ」
「…優しいんですね、ヨハンさん」
なんだか、このまま別れるのが少し寂しい気すらしてくる。まだ出会ってから少ししか経っていないけれど、それくらいヨハンさんという人は温かい心の持ち主なんだと感じる。
「…あのさ、ユリ、その…」
「?」
「明日は何か予定あるか?」
「明日ですか?特にはありませんけど…」
「そうか、良かった。じゃあ…一緒に出かけないか?連れて行きたいところがあるんだ」
「えっ?」
予想外の申し出に驚き、言葉を失う。
そんな私を見て、NOと受け取ったのであろうヨハンさんは慌てて「嫌ならいいんだ」と言ったけれど、むしろその逆だった。
私は顔を輝かせてヨハンさんの手を取った。
「いいんですか?!私…ヨハンさんと出かけたいです!」
「…っ」
「嬉しいな…あ、連れて行きたい所ってどこですか?気になります!」
「いや、それは明日のお楽しみだな。…じゃ、OKって事でいいんだよな?」
「はい!もちろんですっ」
大きく頷くと、ヨハンさんは嬉しそうに微笑んでくれた。あ、なんかその笑顔すごく素敵だな。
そんなことを思っていると、ヨハンさんは手に持っている会社用のカバンから手帳を取り出し、それに何かを書いたあと、そのページの端を切り取って私に手渡した。
「…これ、オレの連絡先。それじゃ明日の10時に、駅前に待ち合わせってことでいいかな」
「あ、ありがとうございます!それで大丈夫です」
メモを受け取ってそれを見ると、連絡先が走り書きしてあった。
「…それじゃ明日。おやすみ、ユリ」
「はい!おやすみなさい、ヨハンさん」
手を振って去っていく彼の背中を、私は見えなくなるまで見送った。手の中にあるメモの切れ端が熱を持っているような、そんな錯覚を覚えた。
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