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そしてまた、月曜日になった。
出社し、金曜日の歓迎会のお礼を明日香さんと由季さんに告げると「どういたしまして」と相変わらずの美しい笑顔で返してくれた。
土曜日はあのあと、地元の駅まで送ってもらい、「じゃあまた会社でな。今日はありがとう」と言われ、そこで別れた。
私はそこからヨハンさんの事が頭から離れなくなってしまって、帰ってからも翌日からもずっと彼に言われたことが頭の中でぐるぐると回り続けていた。
あまりに考えすぎて、今日から普通に接することができなくなってしまったらどうしようと思っていたのだけれど、その不安に反してヨハンさんはいつも通りに「おはよう、ユリ」と言って笑顔で挨拶をしてくれた。
お昼休憩を過ぎて15時頃に差し掛かった。
ようやく少し慣れてきた事務作業をこなしていると、明日香さんが「あっ」と小さく声をあげた。
「どうしたんですか?」
「いけない。この書類、T社まで渡しに行かなきゃいけないんだったわ」
どうやら事務書類の下の方に埋まっていたために忘れてしまっていたのか、1つの茶封筒を手に取っている。
「しかも今日まで。私ったらうっかりして…」
「私でよければ届けますよ。T社なら何度か見かけたことがあるから、場所も知ってますし」
「でも悪いわ。私がうっかりしていたからなのに…」
「いいえ。いつも仕事を教えてくださっているお礼に、私に行かせてください」
明日香さんは少し悩んだように頬に手を当てて視線を彷徨わせていたけれど、やがて小さく微笑んで私を見た。
「じゃあ…お願いしてもいいかしら。ユリの残りの作業は私が引き継ぐわ。書類を提出したら、そのまま帰って大丈夫よ」
「わかりました!お預かりします」
作業の引き継ぎを済ませ、私は書類をバッグに入れて会社をあとにした。
「ふー…緊張した」
無事書類を提出し終わり、私は一息つく。
T社は大手企業として有名で、この建物の外観だけでも足を踏み入れるのに緊張してしまった。
時計を見ると午後16時半を回っている。
少し早いけど夕ご飯でも食べてから帰ろうかな、と考えていた時だった。
「やあ、ユリじゃないか」
エドさんがT社から出てきたではないか。相変わらずグレーのスーツを着こなし、どこぞの雑誌のモデルのようなオーラを醸している。
会社のファンの方々ならばここで黄色い声をあげるのだと思うけれど、私はびしっと石化した。
「(エドさんだ…ど、どうしよ、この前の給湯室での一件もあるし…)」
「君もT社に用事があったのかい?実はボクもでね。今日はここに営業回りに来ていたんだ」
私の警戒態勢なんて気にする様子など全くなく、会えて嬉しいよ、とエドさんは私に歩み寄る。
「駐車場に車が停めてあるんだ。よかったらこの後食事でもどうだい?夕飯はまだだろう?」
「え、えっと…まだですけど、その…」
なんとかして断りたかった。
こうして話しているだけでも緊張で体が強張ってしまうほどだというのに、食事を一緒にするなんてとてもじゃないけど無理だと思った。
「決まりだな。さ、行こう」
「え?!エ、エドさん…?!」
言い訳に困っている私を楽しそうに見ると、エドさんは自然な動作で私の手を取って歩き出した。なんということだろう。今私はエドさんと手を繋いで歩いている。途端に顔がかあっと熱くなった。
「エ、エドさん、手…っ」
「ん?ああ、いいじゃないか。君の手に触れてみたいと思っていたんだよ、ユリ」
そう言って、その綺麗な青い瞳に私を映す。そして悪戯っぽく笑ったエドさんに手を引かれたまま、私は高鳴る胸をどうにか抑えるのに必死だった。
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