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伸びてきた彼女の腕は確かに小さく震えていて、振り払うことなんてとてもできなかった。次の言葉を待っていると、ユリがそっと口を開いて空気を吸い込んだのが分かった。
「…ヨハン、さん…わたし、私は…
ある人に、酷いこと、しちゃったんです…っ」
「…」
「わたし、その人のきもち、全然考えてあげられなくて…、気付いてあげられ、なくて…っ、それで…」
彼女の顔を覗き込むと、やっぱり泣いていた。
よく見るとまぶたが腫れていて、恐らくオレが公園へ向かう前までも泣いていたのであろうと思う。
オレはそっと彼女の頭に手を伸ばして、優しく頭を撫でた。
「…それで…っ、いっぱい傷付けちゃったんです…その人の…こと…!」
「…うん」
「わたし、ばかだ…大ばかだ…」
その言葉を最後に、ユリは黙ったまま泣き続けた。オレは彼女の頭を撫でることを続けながら、「大丈夫だよ」と繰り返し囁いた。
「気付けない事だってあるさ。みんながみんな、お互いの気持ちを全部知ってるわけじゃないんだから…そんなに自分を責めなくていいんだよ」
「…でも…」
「それにきっとその人だって、ユリが泣くことなんて望んでないと思うぜ」
「…」
「オレだって、ユリが泣いてるとこ見るのは嫌だよ。だから、な?」
顔を近づけて、額と額をこつんと合わせる。
ユリの額はとても熱くて、そこからじわりと伝わってくる体温が愛おしい。
「…ヨハン、さん…?」
「ん。泣き止んだな。いい子」
まだ乾ききっていない涙の跡を指で優しく拭う。そして再び頭をそっと撫でてやると、安心したのかユリは目を細めた。
「…ありがと…ヨハンさん…」
「いいよ。泣き疲れたろ、もう寝たほうがいい」
「ん…」
ユリはゆっくりと目を閉じた。
小さな寝息が聞こえてきたのを確認して、オレはようやく頭を撫でていた手を止める。
「(…よし、寝たな)」
オレの腕の中で安心しきったように眠る彼女を見て、愛おしさがこみ上げる。悲しみからも、辛いことからも、他の誰でもない自分が守ってやりたいと強く思う。
ぎゅっと強く抱きしめたくなる衝動を抑えながら、彼女を起こさないように帰ろうと、ベッドから離れようと身体を起こした時。
「ん…ヨハンさ…ん」
まるでオレを引き止めるかのように彼女の口から溢れた言葉。
そして少しだけ切なく歪められた表情を見て、オレは眉根を下げながらも口元が緩むのを感じだ。
こんな顔をされて、離れられるわけがない。
「…おやすみ、ユリ」
その前髪を軽くよけて、そこに軽いキスを落とす。薄手の掛け布団を彼女の身体にかけてから自分もそこに潜り込むと、オレはそのまま目を閉じた。
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