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あっという間になつやすみに入り、何日かが経った。そして今日がついに、明日香さんたちと約束していた夏祭りの日だ。

現在15時ごろ。
私は慣れない浴衣に悪戦苦闘していた。


「えっと…ここで襟を合わせて、少し持ち上げて固定して…?」


そもそも浴衣なんて、友達と夏祭りに行くために何年も前に一度着たきりなのだ。浴衣に同封されていた説明書を読んでもいまいちピンとこず、動画を見ながら一生懸命着付けを行なっていた。

一時間半後、ようやく支度が整った頃にはすでに疲れてしまっていた。
合わせて買ったカゴ巾着を手に持って姿見の前に立ち、全体をチェックする。


明日香さんと由季さんが選んでくれた浴衣は、白地に淡いピンクの花や、小さな鯉が散りばめられているものだった。

それに橙色の帯を合わせると、彼女らは「これで完璧ね!」と喜んでくれたけど、自分では似合っているのかどうかよく分からない。

美女2人に自分が混ざって、完全に見劣りするんじゃないかと若干不安になりつつも、私は桐下駄を履いて家を出た。





待ち合わせである神社の境内の入り口前に着いたのは、待ち合わせ時間ほぼぴったりの時間になってしまった。そこにはすでに明日香さん、由季さん、ヨハンさん、十代さんの姿があった。


「ごめんなさい!お待たせしました」
「大丈夫よ、ユリ。それより浴衣とっても似合ってるわ!」
「ほんと!すごく可愛いよ〜。色が白いから、やっぱり淡いピンクが似合うなって思ってたんだ」


口々にそう言ってくれる明日香さんだって、白地に紫の桔梗が鮮やかに描かれた浴衣がとても大人っぽくて似合っているし、由季さんだって淡い黄色の生地にあじさいが散りばめられた浴衣が、ふんわりとした雰囲気の彼女によく似合っている。


「美女が2人…幸せ…」
「なに言ってるの、ユリだって可愛いわよ。ね?十代、ヨハン」


彼らの方を見ると、十代さんはグレーと黒の縦縞に黒い帯、ヨハンさんは紺色の縦縞にグレーの帯を合わせていて、どちらもとても似合っていて驚いてしまった。なんなんだ、彼らのこの色気は。


「ああ、スッゲー似合ってるぜ、ユリ!もちろん、明日香と由季もな!」
「ありがとうございます、十代さん」


そこで私は初めてヨハンさんの方を見た。
彼からなんの言葉もなくて、やっぱり似合っていなかったのかと不安になりながらも、おずおずと尋ねた。


「…あの…私の浴衣姿、変ですか…?」
「え?!い、いや」


私が話しかけて、ようやくハッとしたようにヨハンさんは言葉を返してくれた。そして明日香さんたちの方様子を一瞬うかがった後、私にだけ聞こえるように声をひそめて言った。


「可愛すぎて見惚れてた」
「っ!」
「おーいヨハン、ユリ、行くぞー!」


ヨハンさんの言葉に心臓が止まりかけた時、十代さんの陽気な声で私は我に帰った。


「ああ!…行こうぜ、ユリ。足元、気をつけて」
「…はい!」


一瞬、私の手を取ろうとヨハンさんが手を伸ばしてくれたけれど、今は2人きりでないという事に思い直したようだ。
残念そうに眉根を下げながらも、彼は私が転ばないよう気を配りながら一緒に神社の石段を登ってくれた。

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