03

午前中はあっという間に過ぎて、時計の針は12時を示していた。


「私は食堂に行くけど、ユリも一緒にどうかしら?それとも売店で何か買う?」
「ええっ?!こちらの会社ではお昼休憩が取れるんですか?!」
「何驚いてるの…普通でしょう、そんなの」
「いえ、普通じゃないです!!前の会社じゃお昼を食べられることなんて滅多にありませんでした」
「…苦労してたのね…」
「私も休憩を取らせていただけるのであれば、ぜひ食堂に行きたいです」
「そう。それじゃ行きましょ。由季も一緒に」


明日香さんは隣の席の女性に声を掛けた。
由季と呼ばれた小柄なショートカットの女性は、うん、と頷いてみせる。朗らかでおっとりとした印象だ。


「私は由季。明日香と同期なの。あなたと同い年よ。よろしくね、ユリちゃん」
「はい!よろしくお願いします」
「もう。だからタメ語でいいのよ?」
「お、恐れ多くて…」


いくら同い年とはいえ、明日香さんや由季さんのような絶世の美女たちにタメ語で話すのはバチが当たるのではないかと気が引けてしまう。もう少し時間がかかりそうだった。




食堂は広く、種類も和から洋まで豊富にあった。なんて事だろう、とここでも感動する。
前の会社では食堂なんてものはなく、会社から歩いて10分の場所にあるコンビニに向かうか自分で食事を用意するしか手立てはなかった。

トレイに乗せられた料理を持って、先に席を取っておいてくれた明日香さんたちの元へ向かう。明日香さんと由季さんのほかに、2人が着席していた。


「あ!ヨハンさん」
「よっ、ユリ」


ヨハンさんと、その隣に茶髪の男性が座っている。彼は私を見ると笑顔を浮かべてくれた。


「オレは十代だ。よろしくな、ユリ」
「は、はい!よろしくお願いします」


十代さんか。輝くような笑顔が印象的な人だと思った。
明日香さんの隣の席につくと、いただきます、と手を合わせてスプーンを手にする。先に食べていたヨハンさんがお箸を置いて、私に視線を向けた。


「早くユリと話したくてさ、来ちった」
「え?」
「宝玉獣キャラクター、好きなんだろ?オレの周りに話せるヤツいなくてさ」
「ああ!大好きですよ。一番好きなのはルビーなんですけど、トパーズタイガーの雄々しいフォルムもたまらないですよね」
「そうそう!あとサファイアペガサスの凛々しさと言ったらさぁ!」


「…すごく盛り上がってるわね」
「こんな嬉しそうなヨハン、久しぶりに見たぜ」


結局私とヨハンさんの宝玉獣談義は、お昼休憩が終わるまでノンストップで続いた。


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