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午後になり、また私たちはデスクに向かっていた。十代さんやヨハンさんたち営業組は外回りに行くらしく、クロノス部長に挨拶をして部屋を出て行った。


私は午前中と変わらず、明日香さんに仕事を教えてもらうべく熱心にメモを取る。あっという間に数ページが文字で埋まってしまい、頭の中が早くもパンク寸前だった。



「部長、ただいま戻りました」
「ああ、お帰りナノーネ、エド」


不意に1人の男性が部屋へ入ってきた。その途端、女性社員たちが静かに色めき立つ。
一体何事だろう。部長に挨拶をしている彼を、私はちらりと横目でその姿を確認する。


グレーの髪に青い瞳。
一目見ただけでもその表情には自信が満ち溢れているのがわかる。確か彼は、朝はここにいなかったはずだ。営業回りから今戻ってきたという事なのだろうか。


「(それにしてもまたハイレベルなイケメンが…)」
「ん?君は…」


私の視線に気づいたのか、彼はこちらに向かってきた。


「見ない顔だな」
「あっ、はい!ユリです。中途採用で今日から入社になりました」
「ボクは営業課のエドだ。どうぞよろしく」


軽く微笑んで右手を差し出される。
近くで見るとますますイケメン度が増して、私は思わず目をそらしてしまう。


「よ、よよよよろしくお願いします…え、エドさん」
「…フっ」
「(えっ笑われた?!)」
「目が合わないなと思ってね。良かったらちゃんとボクの顔を見てくれるかい?」


ん?と近づいて顔を覗き込まれる。
ますます近づいたその端正な顔に、私は途端に顔が赤くなっていくのを感じた。


「(うわー!やばい…っ!美しすぎる!)」
「…君は面白いな。ユリか、これから共に働けるのが楽しみだ。それじゃ」


かろうじて差し出した私の手を、エドさんは軽く握る。そして軽い握手を交わすと、自席があるであろう場所へと向かっていった。
隣でその様子を見ていた明日香さんが口を開く。


「…ユリ、あなた顔が真っ赤よ」
「そ、そりゃそうなりますよ…」
「あなたもエドのファンの一員になるのかしら」
「え?」
「この会社の女性社員は、ほとんどがエドのファンなのよ。まぁ私は違うけどね」
「そうなんですか…それじゃ由季さんも?」


明日香さんの隣の席の由季さんに尋ねる。
由季さんは慌てて両手を振ってノーの姿勢を見せた。


「私は違うよ!そりゃ、エドは完璧だなと思うけどね」
「さ、今は仕事中!無駄話ばかりしてないで作業に戻るわよ」
「はい!すみませんでしたっ」


明日香さんにバシッと注意され、私は背筋を伸ばしてパソコンと向かい合ったのだった。

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