お一人様のススメ�A
休日にカフェで宜野座さんと鉢合わせたあの日から二週間後。
今日も業務を終えて帰路につく。
その途中、スマホに着信があった。画面には宜野座さんの名前。
「はい」
『俺だ。明日は久しぶりに非番が重なるな』
「えっ、そうだったんですか!」
『…俺は君の勤務表をチェックしていたが、どうやら君は違ったらしいな、ユリ』
少し拗ねたような声色になる宜野座さん。
私は顔が綻ぶのを抑えきれなかった。
「ごめんなさい、今度からちゃんと見ておきますね」
『ああ、頼む。…それで、明日は予定はあるか?ないのなら君を誘いたい』
「…それって、あの…」
二週間前の会話を思い出す。
宜野座さんは確か、デートのお誘いだと言っていたはず。思い出すだけで一気に緊張が走った。
『……君にその気がないのなら断ってくれで構わない』
「…っ、行きます!明日、宜野座さんに会いたいです…!」
『そうか。安心したよ』
「どこに行きますか?前みたいにカフェでお茶とか?」
『考えたんだがー、俺の家に来ないか?』
「へっ?」
『最近の事件にはお互い体力を消耗しているだろう。二人でゆっくり過ごすというのはどうだ?』
「わ、わかりました。じゃ宜野座さん家の場所を…」
『必要ない。俺が家まで迎えに行こう。あとで君の住所を送っておいてくれ』
「はい…」
『明日、13時に迎えに行くよ。…それじゃ』
分かりました、お願いします。
そう返すと、スマホを耳から静かに話す。
…これは夢なんだろうか?
宜野座さんと明日初デートで、しかも、宜野座さんのおうちに行く?
現実の出来事じゃないみたいだ。
以前からずっと、宜野座さんは素敵な先輩だと思っていた。
けどこれ以上でもそれ以下でもなくて、彼を意識し出したのは二週間前のあの日だ。
我ながら単純だと思う。
デートに誘われたくらいで、こんなに宜野座さんのことで頭がいっぱいになってしまうなんて。
「…私、ちょろい女だなあ」
一人呟くと、私は家路を急いだ。
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