カタオモイ






…あ。場地とユリ。
2人とも制服だ。いまガッコー帰りか。



「…ねぇマイキー。ねぇってば!」

「…ん、ワリ。なに?」

「もー、また私の話聞いてないんだからーっ」

「ワリーって。謝ってんじゃん」



むくれた顔をして腕を絡ませてくるこの女は、一応カノジョ。オレは適当に謝ると、再び場地とユリに視線を戻した。






…あーあ、楽しそうに話してら。



場地もユリもオレの幼馴染。
物心ついた時からいつも一緒にいて、オレはいつからかユリのことを好きになっていた。


けど、ユリは場地のことが好き。
言葉で聞いたことはないけど、態度や仕草を見てりゃ一目瞭然。

オレに向ける視線と場地に向ける視線は明らかに違う。よくユリの表情を盗み見ることがあるけれど、それは恋する女の顔だった。


おそらく場地もユリを想ってる。
あんまりカオに出さない奴だから読めないけど、多分そう。





だからオレはカノジョを作った。

ユリの幸せのため。
場地の幸せのため。


2人が幸せならそれでいい。
壊さないように、大好きな2人をそばで見守ることができればそれがいいんだ。


…なんて自分に言い聞かせているけど、本当は自分のこと気を紛らわせて、苦しみから逃れたかったんだろう。



相手が場地じゃなければ、ボコボコにぶっ飛ばしてオレがユリを奪ってた。


でも、相手は場地だった。

あーあ、世の中うまくいかねーことばっかだ。




…と、このまま歩いてくと場地とユリに見つかるな。



「ワリ、今日ここで解散でいい?」

「えぇーなんで?!まだ夕方だよ?!」



カノジョは「夜まで一緒にいてよ」と身体をくねらせている。本来ならばここでカレシが優しくホテルにエスコート…なんて流れだろう。


けどそんな気はみじんも起こらない。
「明日また埋め合わせするから」となだめて、オレはカノジョから離れた。






好意を寄せる相手に、好きなヤツがいて。
その好きなヤツは、オレの大事な友達。
 

胸を締め付けられる思いがする。
いつか解放される日は来るんだろうか。



「おーい!場地!ユリ!」

「おー、マイキー」

「あ、マイキーだー」



ー今はただ、変わらない日々の中で場地とユリのそばにいたい。

そんなことを願いながら、オレは2人に歩み寄った。


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