純白の花9



あれから数日。
リヴァイさんは私の前に姿を現さなかった。

一体どうしてだろう。
何が彼の怒りに触れたのだろう。

考えても一向に答えは出てこない。





「…もしかして…」



この前お礼に作ったお料理が美味しくなかったとか。リヴァイさんは「悪くない」と言って食べてくれたけれど、それは嘘で、我慢して食べていたとか。

だから私がエルヴィンさんから本を借りて、またお料理を作ろうとしていたことに怒ったとか…?!


…ありえないことじゃ、ない…?




それなら私は何に謝ればいいんだろう。
まずお料理を食べさせてしまったことから?
そして本を借りて再びお料理をしようとしたこともに…?



「うぅう…」



頭を抱えて机に突っ伏す。
でもあの時リヴァイさんは、「他のやつに頼るな」と言っていた。

他の人に頼ったことに怒っているのだとすると、他人に迷惑をかけるなという意味で怒っていたんだろうか。


考えれば考えるほど分からなくなり、私はついに部屋を飛び出した。






「リヴァイさん」



すぐ近くにあるリヴァイさんの部屋をノックする。
少し時間は空いたものの、やがて扉が開かれて彼が顔を覗かせた。



「…なんだ」

「あの、お話がしたくて…」

「……入れ」



初めて足を踏み入れるリヴァイさんのお部屋。
入った瞬間にわかるほど部屋のあちこちが磨き上げられていて、家具も必要最低限。


汚れひとつない壁や床に感動していると、リヴァイさんが「座れ」と椅子を指したので、私は頷いてそこに腰掛けた。



「…あの、リヴァイさん」

「なんだ」

「この前は、怒らせてしまって…すみませんでした。でも…あの後ずっと考えてみたんですけど、リヴァイさんを怒らせてしまった原因がはっきりと分からなくて」

「…」

「私は…どうしてリヴァイさんを怒らせてしまったんでしょうか…」



膝の上でぎゅっと手を握る。

怒らせてしまった原因も分からないのに謝りに来るなんて、こんな話があるだろうか。でも今の私にはこうするしか思いつかない。


リヴァイさんは壁に軽く寄りかかったまま私を見下ろしていたが、やがて小さく息を吐いた。



「別に怒ったワケじゃない」

「え?でもそれじゃなんで…」

「チッ。めんどくせぇ」



リヴァイさんが私の方へ歩み寄ってくる。
なんだろう、と思う間もなく、顎の下に軽く指を添えられて上を向かされた。


綺麗な顔が近づいてくる、なんて呑気に考えていると、柔らかくて温かい感触が唇に重なった。



「…こういうことだ」



まだ少し近い距離にあるリヴァイさんの顔。

ランプの灯りに照らされた、いつも通りのその表情からは、何も読み取ることはできなかった。




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