純白の花5
購入してもらった衣類やら日用品やらを抱え、リヴァイさんと街へ赴く。やはり彼は街でも有名で、行く先々で黄色い声が上がるのが聞こえた。
「見て!リヴァイ兵士長よ」
「今日は誰か連れてるわね。調査兵団の兵士かしら」
そんな声がそこかしこから聞こえるものの、彼に声を掛ける人は誰一人としていない。それはやはり彼が持つ威圧感と、この人相によるものなのだろうか。
「チッ。うるせぇな。ゆっくり紅茶も飲めやしねぇ」
一息吐こうと入った喫茶店で、リヴァイさんが舌打ちを放つ。
「あ?」とでもいわんばかりの表情を辺りに向けると、好奇の目で彼を見ていた人々は咄嗟に顔を背けた。
「…リヴァイさんは有名なんですね」
「ああ。鬱陶しさしか感じないがな」
そう言って紅茶の入ったカップに口をつける。
独特なカップの持ち方だなあと思いながら見ていると、リヴァイさんが「食わねえのか」とおもむろに尋ねた。
私の前にティーカップと、何やら長方形の固形物。
その前にフォークが添えられている辺りおそらく食べ物なのだろうとは思っていたけれど、聞くタイミングを失ったままでいた。
「…これは、なんですか?」
「焼き菓子だ。…ああ、そういえば地下にはなかったな、こんなモンは」
私の質問を受けて、リヴァイさんは納得したようだった。
「食ってみろ。お前の口に合うかもしれねぇ」
「………はい」
添えられているフォークを持ち、一口サイズに切り分ける。サク、と軽い音を立てて割れたそれをフォークに刺して口に運び込んだ。
…甘い。
「…!」
「美味いか?」
咀嚼したまま喋るのは良くないと思い、無言で何度も頷いてみせる。
甘くてサクサクの食感。
口の中が幸せで満たされていくような感覚だ。
「…そうか。良かった」
そう言って、彼は口元だけ微笑んで見せた。
初めて見るリヴァイさんの笑顔。
…こんなふうに笑うんだ。
その表情に魅入って、私は一瞬、菓子の味を忘れそうになってしまった。
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