甘やかな嫉妬
「十代!今日もかっこよかったよ!」
「おっユリ!サンキュー!」
練習デュエルに見事勝利し、ギャラリーが湧く中、ユリは真っ先に駆け寄った。
へへっと笑う十代とハイタッチする。
「今日も見てくれてたんだな」
「もちろん!十代のデュエルって、見ててとってもわくわくするんだもん。私大好き!」
ーああ、また。
「大好き」なんて言葉、軽々しく使わないで欲しいのに。
オレは少し離れたところから二人の様子を見守っていたけれど、苛立ちが込み上げてくるのを抑える事ができなかった。
「…ユリ、行こう。今日は夕方からオレと過ごす約束してただろ」
「あ、ヨハン!ごめんね十代、じゃあまた!」
半ば強引ともいえる形でユリの手を引いて、ブルー寮へ向かう。
オレの部屋について2人で中に入ると、ユリが尋ねた。
「…ね、ヨハン、どうしたの?」
「え?」
「何だろう、ちょっと…怒ってる感じがしたから」
「…そう見えるか?」
問うと、ユリは少し困った顔で小さく頷いた。ああ、そんな顔させたいわけじゃないんだけどな。
「正直言うと、その…嫉妬、してたな。十代に」
「えっ?どうして?」
「いつも仲良いだろ、十代と。一緒にいるところ見てたら…なんかモヤモヤしちまってさ」
「…」
「ごめん。オレ、かっこ悪いな」
眉根を下げて、素直に謝る。
だってユリを困らせたいわけじゃないし、十代の事だって親友だと思ってる。
ただ、立場上オレとユリは付き合っているのだから、自然と独占欲が湧いて出てきてしまったんだ。
しばらく返事がなかったから、もしかして呆れられてしまったのだろうか、と思いユリの方をちらりと見る。
しかし想像とは全く反して、ユリの表情はキラキラと輝いていた。
「…っありがとヨハン、嬉しい!」
「え?!う、嬉しいのか?」
「そうだよー。だって、ヤキモチ妬いてくれてたってことでしょ?」
ぎゅ、とそのままオレに抱きついてくる。
そして猫みたいにすりすりと頬ずりをしてくるユリ。なんて可愛いんだろう。
…あれ、オレさっきまで苛々してたんじゃなかったっけ。
「大丈夫だよ、私が好きなのはヨハンだもん。十代の事ももちろん好きだけど、それはデュエリストとして、友達として、だよ」
「…うん、分かった。悪かったな」
「ううん、謝らないで」
そしてユリは顔を上げて、オレの頬にちゅっと軽いキスを落としたあと、耳元に唇を寄せて「ヨハン、大好き」と囁いた。
途端にドキドキと心臓が早まって、身体の熱が上がって、オレの中がユリでいっぱいになってしまう。
こんなに簡単にオレの感情を転がしてしまえるのは、世界中でユリだけだ。
「…オレも大好きだよ、ユリ」
その両頬にそっと手を添えて、柔らかい唇を味わうように何度も彼女にキスを落とした。
1/14
prev next△