熱情のキス

「ん…ゆ、うせいっ」
「…、ユリ」

わずかに生じた空間。
お互いの口から熱い吐息が漏れて、それを唇に感じる。間髪入れずに遊星が再び唇を重ねようと顔を近づけて来たけれど、私は彼の頬に手を添えてそっとそれを制した。

「…待って。ちょっとだけ」
「…ああ」

遊星が相槌を打ったのを確認して、私は少し深く息を吸い、呼吸を整えた。


ポッポタイムのガレージで遊星が修理の仕事をしていたのが少し前。何かできることはないかと思い、「お茶でも淹れるね」と言って紅茶の準備をするべく二階に向かおうとした私の腕を、遊星が掴んだ。

そしてそこから腰に手をやり引き寄せられ、気付いた時にはキスを繰り返していた。目の前に遊星の顔があって、その唇は濡れて光っている。

もう何度も執拗にキスを繰り返したはずなのに、遊星の目には「まだ足りない」という意志が浮かんでいる。対して私はもう受け入れるのに精一杯で、すっかり息が上がってしまっていた。


「もう、いいか」
「…っ、ん…」

余裕のない表情。私の返事を聞く前に再び、遊星の濡れた唇が私の唇を覆った。ついばむような口付けを繰り返すたび、ちゅ、という湿った音が耳をつく。そろそろ思考回路が停止してしまいそうだ。


やわく唇を食まれ、その感触にまた小さく声が零れる。そして私のその声を耳にした遊星がさらに余裕をなくしていくのが分かった。

普段から見せている意志の強そうなあの表情は、今どんなふうに崩れているのだろう。そう考えると胸が甘く疼いた。


「…ユリ、好きだ」

その綺麗な両手で私の頬を包み、熱情の篭った視線で彼は私を見る。遊星の美しいブルーの瞳に吸い込まれてしまいそうな感覚に陥りながらも、私はわずかに頷いてみせた。


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